中古EVに航続距離保障を付与。安定した運用が可能に
カーボンニュートラルをはじめ、多くの企業が環境への取り組みを初めている昨今、社用車などをEVにシフトする動きが進んでいる。しかし新車EVは化石燃料車と比較し、車種のラインナップの少なさ、リース料金の高さ、充電設備の不足、バッテリーの劣化による航続距離の不足などの課題から、導入に踏み切れない企業が多いという。
日本国内においてEVは、2010年代から普及が始まり、国内で一定の販売台数を誇り、中古車として流通する数も少なくない。しかし、新車登録から5~7年程度でまだ十分に利用可能な中古EVのうち約74%が海外に輸出されているのだ。
EVをバッテリーやモーターには、レアメタル、レアアースが使用されている。ただでさえ希少な素材を搭載した中古EVが国外へと出回ってしまっているのが現状だ。天然資源に乏しい日本にとって、国内で資源・素材を循環させることは必須といえる。
これらの課題を解決すべく東京センチュリーとオークネット両者は協力。EVシフトの促進ならびにEV資源の国内循環を推進するため、今回の合意とサービスの供給に至った。
東京センチュリーはグループ全体で約70万台の車両管理台数を擁し、2030年までにEVの管理台数10万台を目指している。一方のオークネットは、中古自動車の循環型流通の先駆者として豊富な在庫や取引実績を有するオークション市場およびEVバッテリーの再流通市場を運営している。
本サービスは、東京センチュリー(グループ会社を含む)により、充分な航続距離を有する中古EVを新車EVに比べ安価料金で提供する。加えて、オークネットは法人の運行に必要な航続距離をデータ取得により算出し、バッテリー劣化を加味して算定した航続可能距離を保証する。これにより業務内の運行に必要な距離を、リースされた中古EVで補うことができる。
加えて、使用済みとなったEVバッテリーは、オークネットが運営する使用済みEVバッテリーを活用したソーラー街路灯、蓄電池、 非常用電源といったリパーパス製品流通プラットフォームに流通させる。これにより、EV資源の国内循環を推進する仕組みが構築された。
東京センチュリーは2022年に、使用済みバッテリー診断評価やリパーパス製品の開発・設計を手掛けるMIRAI-LABO株式会社と資本業務提携を行っている。MIRAI-LABOとも連携を強め、サービスの普及を図るという。
中古EVの活用は、カーボンニュートラルの面だけでなく、リパーパス製品として国内のエネルギー循環にも良い作用を持つ。EV普及を取り巻く現況は厳しいが、本サービスは日本のエネルギー環境を支える柱の一つになりうるかもしれない。