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ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」と「ファミリーマート」。業界を代表する飲料メーカー、コンビニエンスストアがプラスチックをリサイクルすることについて、どのような理想を掲げているのでしょう? すでに手掛けていることとは? この企画では、プラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」2023年度の実証実験に参画する両社が、プラスチックリサイクルのためにどのような姿勢で臨んでいるのかをお伝えします。また、この実験を提供する側の「旭化成」「伊藤忠商事」両社が、どのようなソリューションを描いているのかを語っていただきます。

TOP画像:左から順に、旭化成株式会社 デジタル共創本部 インフォマティクス推進センター 先端情報技術部 資源循環プロジェクト プロジェクト長 下野雅樹さん、株式会社ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部 環境推進グループ マネジャー 原田公雄さん、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社シニアビジネスマネージャー 兼 カスタマーESGリード 渡邉真琴さん、伊藤忠商事株式会社エネルギー・化学品カンパニー  化学品部門化学品プロジェクト推進室荒谷紀文さん。
プラスチックリサイクルの理想、そして現実
昨夏に実証実験がはじまり、今夏が2回目となるプラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」(※)。今年は新たにコカ・コーラ ボトラーズジャパンが加わり、「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」「ファミリーマート」「旭化成」「伊藤忠商事」4社協業による、昨年よりもスケールアップした内容となっています。
※「BLUE Plastics」プロジェクトの概要については、Equally Beautifulのこちらの記事もぜひご覧ください。
https://equallybeautiful.com/news/186
https://equallybeautiful.com/news/194
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

今夏の「Blue Plastics」実証実験内容が記されたチラシ表面・裏面。実証実験の対象店舗3店舗にて、配布されました。

消費者にとって身近な存在である「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」「ファミリーマート」の2社が、プラスチックリサイクルについてどのような理想を抱いているのか。まずは、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 シニアビジネスマネージャー 兼 カスタマーESGリード 渡邉真琴さんに伺いました。
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?
コカ・コーラ BJI渡邉さん「我々は飲料メーカーですので、容器がないと、ビジネスが行えません。そんな中で、2018年、グローバルの共通目標として“World Without Waste”(※廃棄物ゼロ社会)を掲げました。
日本国内では、特にペットボトルのリサイクルに注力するうえで、3つの柱からなる活動にシステムワイドで取り組んでいます。1つめは『ボトルからボトルに生まれ変わらせるボトルtoボトル』『ラベルレス製品の強化』『容器の軽量化』など容器の設計に関する活動、2つめは、2030年までに、我々が販売したペットボトルと同等量のペットボトルを回収すること、3つめは各自治体との「ボトルtoボトル」推進のために回収面での連携や、今回のBlue  Plasticsプロジェクトなど、様々なパートナー企業との活動で、これからも多くのプレイヤーの皆様と一緒に協業させていただくことで、より良い環境作りをできればと思っております」
続いて、株式会社ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部 環境推進グループ マネジャー 原田公雄さんはこう話します。
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?
ファミリーマート原田さん「ファミリーマートでは、お弁当など、主力の中食商品の包材としてプラスチック材料を数多く使用しています。私達としてはリサイクルの前に、“ファミマecoビジョン2050”という環境の中長期目標を掲げ、バイオマスプラスチックや再生PETなど、環境配慮型のより良いものに置き変えていこうという取り組みをしています。
一方で、ファミリーマートから出てくるプラスチック材料はすべて回収してリサイクルすることが一つの理想の形とも思っています。ただし、さまざまなプラスチックが使われており、それを分別することが非常に難しいなど、すべてを回収してリサイクルすることを実現するには、いまだ難しい壁が存在することも事実です」
限られた資源を有効活用するという大きな目標において、プラスチックをリサイクルする認識は両社共通です。ただし現状で抱えている課題は、それぞれの立場により異なることが分かりました。特に、ファミリーマートのようなコンビニエンス事業では、扱う商品によってプラスチック材料が多岐にわたり、それをどう回収して、どうリサイクルするのか、その道筋自体が確立していないのが現状のようです。
次に、それぞれの理想に向かう取り組みのなかで、いま直面している課題をうかがいました。
コカ・コーラ BJI渡邉さん「我々が注力しているのは、市民町民の方々に対する啓発活動です。自治体さまとも協業しながら、それぞれの地域において、“綺麗なペットボトルが、綺麗なペットボトルに生まれ変われる”ことをお伝えしています。その背景のひとつには、自動販売機脇のリサイクルボックスの異物混入率の問題があります。今は、この異物混入の高さに対する課題を強く感じていますし、そこへの取り組みに注力しなければならない状況となっています」
ファミリーマート原田さん「ファミリーマートも、店頭でペットボトル回収をしております。ただ、リサイクルボックスとしてではなく、あくまでお客様の利便性向上のために、ゴミ箱として置いています。その結果、現状ではどうしても異物混入が多く、それがスタッフの分別作業の負担増に繋がっています。逆に、一部の店舗での実験では、店頭でペットボトル回収のための専用ボックスを置くと、回収の質が上がるということも見えてきています。可能性として、今後検討の余地があると考えています」
なるほど、両社はペットボトル回収にすでに取り組んでいますが、ともに異物混入に対する問題を抱えていることで一致しました。ところで、この異物混入とは実際のところいかほどなのでしょう? おそらくこの原稿を読んでくださっている皆さんにとっては、想像がつきにくいのではないかと思うのですが……。
ファミリーマート原田さん「ファミリーマートでは『燃えるゴミ』『ペットボトル』『ビン・カン』と、3種類の投入口を設定しているんですけれども、特に、燃えるゴミの場所には何でも入ってきます。直近ではゴミ箱の設置を店内に変えたので、若干は減っていますが、それでも異物はなくなってはいません。
ペットボトルのところにも、ビン・カンが混ざっています。それをゴミ袋の入れ替えの時に、店舗スタッフが分別し直しています。そうしないと行政施設で受け入れてもらえず、中間回収業者にも迷惑がかかってしまうんです」
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?
コカ・コーラ BJI渡邉さん「弊社のリサイクルボックスも自動販売機脇なので、人目につかず、似たような状況です。実際、本当に多くのものが捨てられているんです。リサイクルボックスは、飲み終わった後の飲料の空容器を回収するものですが、およそ30%を飲料空容器以外の異物(一般ごみ)が占めています。例えばタバコですね。ペットボトルに吸った煙草を入れて廃棄している方がいます。
最近まで困っていたのが、コロナ禍でのマスク。我々のスタッフや、中間処理業者さまの衛生面も懸念され、非常に問題となりました。また、本来入るべきでないごみでリサイクルボックスが満杯になると、周囲に散乱し、美観も損なわれます」
ちなみに、ファミリーマートでは店舗スタッフが異物混入を取り除いているという話でしたが、コカ・コーラの場合も、異物混入の選別は、完全に人力作業です。問題のある異物は、人間が目視して判断して、手作業で選り分けているのです。リサイクルできる・できないという以前に、異物を混入させる行為は、誰かの手を非常に煩わせている事実があることを、私たちはもう一度、胸に刻んでおかなければなりません。
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

「BLUE Plastics」実証実験の店頭での様子。中央に設置しているのが、専用の回収ボックスです。

捨てる行為に対する行動変容。すなわち“リサイクル文化”の創造を目指して
プラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」とは、旭化成が発起人となり、伊藤忠商事の協力体制のもとにスタートしたものです。今夏の実証実験では、ファミリーマートの対象店舗(今年は3店舗)に専用の回収ボックスを設け、消費者がペットボトルを投入。アプリを通じて消費者は、自分が投入したペットボトルがどのようなルートを経て回収され、コカ・コーラをはじめとする新しいペットボトルに生まれ変わるのかを、アプリ上で確認できるようになっています。
プロジェクトの設立目的について、旭化成株式会社デジタル共創本部 インフォマティクス推進センター 先端情報技術部 資源循環プロジェクト プロジェクト長の下野雅樹さんが、こう語ります。
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?
旭化成 下野さん「環境省のプラスチック戦略によると、2030年にはプラスチックの60%、2035年には100%のリユース・リサイクルを実現すると、マニフェストに記されています。そういう世界になったときに、社会では何が必要とされるでしょう? 消費者はどういうプラスチックを選ぶのか? 我々はそこを起点にして、このプロジェクトを立ち上げました。
そして、プロジェクトの目的のひとつは捨てる行為に対する行動変容を起こすことなんです。デジタルツールを用いて実現しようとしているのが、我々のプロジェクトです。
すでにスーパーマーケットの店頭では、スチロールトレーの回収という慣例があります。ご家庭できれいにトレーを洗って、それを戻す。インセンティブなどなく、それでも皆さんの“当たり前”になっています。今、たまたまペットボトルは、そういう状態にはありませんが、それをどうやって誘導するかが課題だと考えています」
この意見を受けて、伊藤忠商事株式会社エネルギー・化学品カンパニー  化学品部門化学品プロジェクト推進室 荒谷紀文さんは、こう続けます。
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?
伊藤忠商事 荒谷さん「民間企業、政府、消費者等、リサイクルに関わるすべての方々が、“相応分に何かしらの責任やコストを負担することが当たり前”という環境を作らないと、循環型経済は回らないと思っています。その意味でも、消費者がキープレーヤーなんです。
このことを理解した上で、誰しもが循環型経済に価値を見出せないと、なかなかこのモデルはうまくいきません。旭化成さんのこのプロジェクトは、まさに消費者の行動変容にフォーカスした試みで、現時点では仮に先進的すぎだとしても、数年後に花開く可能性があるアプローチだと思っています」
続いて、ファミリーマート原田さん、コカ・コーラ渡邉さんが、こうした見解を話しました。
ファミリーマート原田さん「私たちとしても何かしたいという気持ちがありました。ちょうど2022年に発表した中期経営計画の中で『独自性のあるSDGs推進』を掲げたところであり、そんな中で『BLUE Plastics』の取り組みに非常に興味を持ちました。私たちは消費者に一番近い立場ですので、ぜひこの企画に参画して、皆さんの反応を見たいと思いました」
コカ・コーラ BJI渡邉さん「今回の取り組みは、なるべく費用を抑えつつ、ご利用いただく方に、楽しさ・ファンネスを提供するという理念に感銘を受けています。この実証実験で、消費者の方々が楽しんでいただけているのが見えたらいいなと思っています」
ペットボトルリサイクル最大の課題は回収時の「異物混入」。Coca-Cola Bottlers Japan、FamilyMartが共通して思い描く“リサイクル文化”とは?

「BLUE Plastics」の専用回収ボックスが一般的なゴミ箱と違うのが、このQRコード。この情報をスマホで読み取り、アプリにインプットすることで、この日、この場所で回収されたペットボトルが、その後にどのような変遷を辿るのかがアプリ上で分かる仕組みになっています。

『BLUE Plastics』の今夏の社会実験は8月31日まで続いています。したがって、実験結果はまだこれからですが、昨年よりもアプリが使いやすくなり、参加店舗が増え、コカ・コーラによるボトル再生までの輪が繋がったことで、循環システムが、さらに完成形に近いものとなりました。
プラスチックリサイクルが、今後ますます進んでいくことは間違いありません。そのための法整備が、ヨーロッパではすでに進んでいます。しかし法整備や規制、企業努力のみに頼ったリサイクルであれば、どこかに歪みが生じ、サステナブルな取り組みにはなり得ません。政府、企業、自治体、消費者を巻き込んだ大きな変化が必要となります。
そのタイミングは、もうすぐそこまで来ています。
writer
Equally beautiful編集部
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