環境志向の高い欧州から順次採用
日本でも人気の高いスターバックス。以前からテイクアウト時にマイボトルやタンブラーを持参したゲストへの割引サービスの提供や、ストローにバイオマスプラスチックを採用するなど、環境への対応に熱心な企業のひとつだ。
2025年5月初旬、スターバックスは欧州で、象徴的なホワイトカップの新バージョンを発表した。今回のホット用カップとリッド(蓋)は、家庭で堆肥化可能なうえ、従来の紙製カップよりもさらに広範にリサイクルが可能な設計になっているという。
本プロダクトは、スターバックスEMEA(欧州・中東・アフリカ)、イギリスのトランセンド・パッケージング、イタリアのQwarzo®、そしてフィンランドのメッツァ・ボードの協業によって実現した。
最大の特徴は、これまでカップ内側に使用されていたプラスチックのライナー(防水コーティング)が、ミネラルベースのコーティングに変更されていること。これにより、リサイクル時の分別負荷を大幅に軽減し、環境への負担も削減されている。また、使い捨てのプラスチックリッドも、同じくミネラルベースのコーティングを施した繊維素材の代替品に置き換えられている。
この新素材には、Qwarzo®が開発したミネラルベースのコーティングと、メッツァ・ボード製の紙素材が使用されており、いずれも「DIN CERTCO」(ドイツの認証審査会社)による家庭用堆肥化の認証を取得している。設計と製造は、イギリス・ウェールズにあるトランセンド・パッケージングの工場で行われている
このカップは、イタリア、ドイツ、フランス、スウェーデン、スイス、オーストリア、スペイン、ポルトガル、ハンガリーなど、欧州の主要市場で順次導入が開始されており、2025年内にはイギリスとアイルランドでも展開される予定だ。
スターバックスEMEAの社長であるダンカン・モア氏は、「このホットカップソリューションは、コーヒーカップにおける次世代技術の初の大規模導入だ。マイカップを持っていないときでも、リサイクル・堆肥化が可能な持続可能な選択肢をお客様に提供できるのは非常に意義深い。今後の展開からさらに学びを得て、持続可能な技術革新を推進していきたい」とコメントしている。
スターバックスの新カップ導入は、コーヒー業界、カフェ文化の持続可能な未来への新たな可能性を予感させる。日本への導入は未定だが、今後の展開に注目したい。