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化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識

化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識

化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識

化粧品の容器には、ある種の気高さが求められる。ブランドのアイデンティティを体現し、手に取る者を美の世界へと誘う存在であるからだ。そのために容器の設計は長年、精緻さを増してきた。しかし企業の環境への姿勢が厳しく問われる時代となり、美しさと環境責任の両立が、業界共通の命題となっている。

化粧品容器には二つの使命が課せられている。ブランドイメージを纏うデザイン性と、酸素や紫外線から繊細な成分を守る機能性だ。この両立のために生まれたのが、異なるプラスチック素材を重ね合わせた「積層構造」である。
ところが各層は強固に接着されているため、素材ごとに分離することが極めて難しい。そのままリサイクルしようにも、異なる材質が混ざり合っているため、出来上がるのは質の低いものだ。
化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識
しかし一方で、資生堂が主導し、ポーラも参画する「BeauRing」プロジェクトのように、使い終わった容器を回収する仕組みは広がりつつある。
整備されゆく回収フロー。化粧品容器が持つ複雑性のため、実現できないリサイクル。
この課題に答えを出したのが、ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業と、三菱ケミカルだ。2026年2月に発表された共同開発の発想は明快だ。
最初から、分離できる構造で作ればいい。
化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識
鍵となるのは、三菱ケミカルが製造する「ニチゴーGポリマー™」だ。水に溶ける性質を持つビニルアルコール系樹脂で、これを積層構造の中間層に用いることで、使い終わった容器を粉砕し水中で洗浄するだけで素材ごとに分離できる。
化粧品容器リサイクルの鍵は、“水”。ポーラと三菱ケミカルが作る新常識
さらにこの素材は酸素や油分を遮断するバリア性も備え、内容物の品質保持にも役立つ。生分解性を持つ点も特徴で、化粧品容器への応用は日本初の試みとなる。
現在はチューブ容器への適用にとどまるが、両社はより幅広い容器形状への展開を見据えている。「分離を前提とした容器設計」という発想が業界に根付けば、化粧品容器のマテリアルリサイクルは大きく前進するだろう。
本記事を読み込むうえで押さえておきたいポイントを、Q&A形式で整理。
Q. BeauRingとは?
A. 資生堂が主導する化粧品容器の回収・資源化プロジェクト。使い終わった容器を分別・洗浄不要のまま収集ボックスに投函するだけで回収できる仕組みで、2023年から横浜市内で実証試験が始まった。ポーラやシャネル、ファンケルなど複数の化粧品メーカーが参画しており、収集拠点は41箇所にまで広がっている。
Q. マテリアルリサイクルとは?
A. 廃プラスチックを物理的に裁断・洗浄し、新たな製品の素材として再利用する方法である。プラスチックのリサイクルには、燃やして熱エネルギーに転換する「サーマルリサイクル」、化学的に分解して原料に戻す「ケミカルリサイクル」、そして素材の形を保ったまま再利用する「マテリアルリサイクル」の3種類がある。比較的低コスト・低エネルギーで資源を循環できる利点がある一方、異なる素材が混ざると品質が著しく低下するため、素材ごとの分離精度が品質を左右する。
writer
Equally beautiful編集部
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