NEWS

バイオマスプラスチックが美しいベンチに変貌。新たな “屋外空間演出手法” として注目

バイオマスプラスチックが美しいベンチに変貌。新たな “屋外空間演出手法” として注目

バイオマスプラスチックが美しいベンチに変貌。新たな “屋外空間演出手法” として注目

バイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」を用いた3Dプリント樹脂ベンチが、三菱ケミカルグループの研究開発拠点に設置された。他業種とのコラボレーションによって開発・設置されたベンチとはどのようなものなのか。

協業だからこそできる包括的な空間づくりとは
三菱ケミカルグループの研究開発拠点であるScience & Innovation Center(神奈川県横浜市)敷地内に目を引く物体が設置された。
バイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」を素材に3Dプリントで製作された樹脂ベンチである。「DURABIO™」とは、三菱ケミカルグループのバイオエンジニアリングプラスチックだ。植物由来のイソソルバイドが主原料となっており、従来のポリカーボネート樹脂と比較し、高い透明性、優れた光学特性などの特長をもつ。また植物由来のポリマーでありながら、耐久性や耐候性にも優れている。
ベンチの開発・設置にあたり、三菱ケミカルグループ、株式会社竹中工務店、エス.ラボ株式会社、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 田中浩也研究室による協業が実現。3Dプリントを実現するツールパス設計、およびベンチの模様となる表面特殊効果のテクスチャ設計・デザインを慶應義塾大学SFC田中浩也研究室が担当し、エス.ラボ株式会社が超大型ペレット式 3Dプリンタ「茶室」による造形が行われた。

Durahotal - 3D Printing

またそれぞれのベンチの形状に合わせた照明計画を株式会社竹中工務店が担当。多面体同士の角度やベンチの座面の水勾配などを踏まえた「パラメトリックスタディ」手法(※)が用いられ、9種類の異なる形状の3Dモデルが完成した。
 (3461)
ベンチは、2022年9月にセンター内に同グループ最大規模の新研究棟が開設され、その新研究棟のケヤキ並木の樹形に沿って設置されている。ベンチが周辺環境から独立した家具・オブジェではなく、新研究棟の一部として調和する演出となるよう素材の選定から形状の設計、配置までが一貫して行われている。
その結果、自然物と人工物の中間のような有機的なデザインでありながら、ケヤキ並木や大屋根、建物ファサードといった、複雑な形状の自然物や人工物の一つとして、周辺環境に溶け込んでいる。また夜間はベンチがやわらかな光とともに、屋外を彩る。協働だからこそ実現した、新たな空間演出の可能性を感じる場に仕上げられた。
 (3462)
「DURABIO™」は、モビリティ内外装部品、光学・電子デバイス部材、日用雑貨など幅広い分野へ展開が進められている。三菱ケミカルグループは、3Dプリント樹脂ベンチそのものの製品化に加え、デジタルファブリケーション(デジタルデータを利用したものづくり)による建築と一体化した空間演出の提案も視野に入れ、これからも各社の共創を進めていくとしている。
※解析モデルに関わる様々な条件をパラメータとして数値化し、パラメータ値を変化させながら解析を行い、最適化を目指すもの。
三菱ケミカルグループ株式会社
https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/

株式会社竹中工務店
https://www.takenaka.co.jp/

エス.ラボ株式会社
https://slab.jp/

慶應義塾大学SFC 田中浩也研究室
https://fab.sfc.keio.ac.jp/
writer
Equally beautiful編集部
  • facebook
  • twitter
  • line