BeauRingという挑戦
2022年7月、資生堂は積水化学工業、住友化学との3社協業を発表した。プラスチック製化粧品容器を回収し、分別せずに資源化、原料化を経て、再び容器として再生する。そうした一連の循環モデルを構築するという取り組みだ。
翌2023年2月、資生堂はこの構想を「BeauRing(ビューリング)」という循環型プロジェクトとして具体化した。同年4月からは横浜市内の10拠点で実証試験が始まり、ポーラも参画している。
BeauRingの特徴は、利用者の負担を最小限にしたことにある。分別は不要で、中身を洗浄する必要もない。キャップやスポンジ、チップもつけたまま、使い終わった容器をそのまま収集ボックスに投函すればいい。従来のリサイクルでは素材ごとの分別や洗浄が求められることが多かったが、BeauRingはその手間を省いた。
実証試験の結果は順調だった。BeauRingの認知が広まるにつれ、収集量も増加し、リサイクル行動の習慣化の可能性が見えてきた。並行して、積水化学の実証プラントでは使用済み容器を再生エタノール化することにも成功している。
広がる循環の輪
2025年10月、BeauRingにシャネルとファンケルが新たに参画し、収集拠点は横浜市内の20箇所から41箇所へと広がった。
当初は資生堂とポーラの2社で始まったこの取り組みに、競合であるはずの企業が次々と加わっている。化粧品業界全体で資源循環に取り組むという、かつてない協力体制が生まれつつあるのだ。
資生堂は今後、さらなる企業や自治体の参画を呼びかけていく。2022年の計画発表から3年あまり。化粧品容器から化粧品容器へという循環の輪は、まだ小さいかもしれない。だが、その輪が広がり続ければ、業界全体のスタンダードになる日が来るかもしれない。