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「ビール」と「歌」が、桜のある未来を守る

「ビール」と「歌」が、桜のある未来を守る

「ビール」と「歌」が、桜のある未来を守る

「桜が咲かなくなる春が来るかもしれない」——そう言われたとき、どれほどの人がリアルに想像できるだろうか。

日本の桜の約8割を占めるソメイヨシノは、開花に冬の寒さを必要とする。気温が一定期間5℃前後まで下がることで「休眠打破」が起き、春に向けて花芽が目覚める。だが温暖化が進めば、その条件が満たされなくなる地域が出てくるのだ。
環境省のシミュレーションでは、2100年には種子島や南九州の一部でソメイヨシノが開花しない地点が生じると予測されている。
桜のある未来を守るのは、「ビール」と「歌」
それは遠い未来の話に聞こえが、桜の危機はすでに始まっている。
キリンビールが2026年に実施した全国調査によると、生活者の54.8%が「桜の本数が減っていると感じる」と回答し、68%が「桜の高齢化を知っている」と答えた。
事実、全国に植えられている桜の約55%が樹齢60年程度の高齢化状態にあり、約40%は今すぐ対策が必要な状態だという。戦後の植樹ブームに一斉に植えられた桜が、今、一斉に老いているのだ。
追い打ちをかけているのが、管理費用の高騰だ。桜1本あたりの年間管理費は平均約53,000円で、過去10年で約1.5倍まで膨れ上がった。剪定、病害虫対策、植え替えと、必要な作業は多岐にわたるが、専門人材の確保も難しく、全国542自治体のうち38%超が桜の健康状態を十分に把握できていない。管理に課題を感じている自治体は、77.5%にものぼる。
自治体単独での対応には、明確な限界が来ているのだ。
こうした状況のなか、キリンビールは「晴れ風ACTION」として、『キリンビール 晴れ風』の売上を一部寄付する桜の保全活動を2024年から続けている。
2026年はYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」とも連携し、miwaやレミオロメンの動画再生回数に応じた金額が保全活動へ寄付される。
これらの取り組みが2100年の春を直接変えるわけではない。だが、今この瞬間に1本の桜が守られることが、次の世代への積み重ねになる。遠い未来の危機に抗う手段は、結局のところ、今日の地道な行動の連続なのだ。
Q. なぜ将来、桜が咲かなくなると言われているのか?
A.鍵を握るのは、桜の開花メカニズムだ。ソメイヨシノは冬の間、一定期間の低温にさらされることで「休眠打破」が起き、春に向けて花芽が動き出す。気温が高いほど早く咲くと思われがちだが、実は冬の寒さがなければそもそも咲けない植物なのだ。温暖化が進むと冬の冷え込みが不十分となり、この仕組みが正常に働かなくなる。現在すでに奄美大島以南はソメイヨシノの育成に適さない環境だが、その南限が温暖化とともに北上していくと考えられており、環境省のシミュレーションでは2100年には南九州や種子島の一部で開花しない地点が生じると予測されている。
Q. 桜の管理の実態とは?
A.桜の木は適切な手入れがなければ、病気や害虫への抵抗力が落ち、倒木のリスクも高まる。ところが管理を担う自治体の現場では、専門知識を持つ人材が不足しており、予算も追いつかないのが実情だ。外部からの支援として自治体が求めているのは資金援助だけでなく、人材の確保や専門技術の提供も含まれており、桜の保全が単なる「草木の手入れ」では済まない複合的な問題であることがわかる。
Q. キリンビール「晴れ風」「晴れ風ACTION」とは?
A.「晴れ風」は2024年に発売されたキリンビールのブランドで、売上の一部を桜や花火大会など日本の風物詩の保全・継承に充てる取り組み「晴れ風ACTION」を展開している。350ml1缶につき0.5円、500ml1缶につき0.8円が自動的に寄付される仕組みで、累計寄付金額はすでに2億円を超えた。寄付先は全国47都道府県から選定された自治体で、桜の植樹・保全活動に活用される。また、スマートフォンで撮影した桜の画像をAIが解析し、健康状態や樹齢のデータを自治体へ届ける「桜AIカメラ」も展開中だ。
writer
Equally beautiful編集部
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