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廃棄素材が美しい建築タイル「Uool」へと生まれ変わる

廃棄素材が美しい建築タイル「Uool」へと生まれ変わる

廃棄素材が美しい建築タイル「Uool」へと生まれ変わる

岐阜県多治見市のタイル商社・メーカーであるエクシィズが開発した、家電製造の過程で廃棄されていたグラスウール端材を主原料とした低温焼成タイル「Uool(ウール)」。リサイクル率100%を達成しながら、従来比でCO₂排出量55%削減、エネルギー消費量60%削減を実現した画期的な建材として、「建築・建材展2026」で初披露された。

CO₂排出量55%削減を実現。低温焼成で環境負荷を大幅に低減する新素材タイルが登場
開発の出発点となったのは、年間数十トンにのぼる家電用断熱材グラスウールの廃棄問題だ。良質な素材でありながら活用されずに捨てられていたこの廃材に着目したのが、エクシィズのリサイクルタイル開発部門「ecorevo(エコレボ)」だ。
微粉砕したグラスウール廃材に廃粘土を独自の比率で配合することで、リサイクル率100%の原料化に成功した。釉薬にも廃グラスウールを使用しており、製品全体を通じて廃材が活用されている。
廃グラスウールの未来は、建築タイル「Uool」へと繋がっている
製造プロセスでも環境負荷の低減が図られている。通常1250℃で行われるガス窯焼成に対し、Uoolは電気炉を用いて950℃で焼成する。温度を下げたことで焼成時間も12時間から6時間へと半減し、従来比でCO₂排出量55%削減、エネルギー消費量60%削減を実現した。
性能面でも高い水準を誇る。低多孔質構造により吸水率は1.5%未満に抑えられており、汚れがつきにくく水回りでの使用に適している。無釉タイプは凍結による破損がなく、屋外や寒冷地でも安心して使用できる。
デザインは、空間デザインやプロダクトを手がけるジェームス 薫 ビューリー氏が参画した。施釉タイルには美濃焼の器からインスピレーションを得た釉薬の「溜まり」表現を採用し、厚みの変化による奥行きのあるグラデーションを実現している。
廃グラスウールの未来は、建築タイル「Uool」へと繋がっている
無釉タイルは、グラスウール廃材の粒子が表面に白い粒々として現れる独自の質感を最大限に活かした形状とした。緩やかな窪みを設けることで豊かな陰影が生まれ、シンプルながらもクラシカルな風合いを持つ仕上がりとなっている。廃材ならではの素材感を、職人技と現代的なデザインによって意匠へと昇華させた。
建築分野におけるサステナビリティへの取り組みは、太陽光パネルの設置など、既存の建物に後付けする形で効果を得るものが主流だった。いまや建材自体にサステナブルな素材を用いるフェーズに来ている。今後は、建物を建てる際にサステナブルな素材を選ぶかどうかという判断が、必要になってくるだろう。用途や環境によって慎重に選ぶ必要はあるが、そうした選択肢が広がること自体は、建築業界にとって前進と言えるだろう。
廃グラスウールの未来は、建築タイル「Uool」へと繋がっている
本記事を読み込むうえで押さえておきたいポイントを、Q&A形式で整理した。
Q.グラスウールとは?
A.グラスウールとは、溶融ガラスを高速回転で繊維状に引き延ばして作られた断熱材。リサイクルガラスを主原料とし、細かいガラス繊維が無数に絡み合った綿状の構造をしている。
断熱の仕組みは、繊維の隙間に閉じ込められた静止空気が熱の移動を阻害することにある。空気を大量に内包する構造により、高い断熱性能を発揮する。主な用途は住宅の壁・床・天井への充填で、日本の住宅断熱材として広く普及している。冷蔵庫や業務用冷凍機などの家電断熱にも活用されている。
Q. エクシィズのリサイクルタイル開発部門「ecorevo(エコレボ)」って?
A.ecorevo(エコレボ)は、岐阜県多治見市のタイルメーカー・株式会社エクシィズが手がけるリサイクルタイルブランド。25年にわたる研究技術を基盤に、溶融スラグや廃ガラス、セラミック廃材などを原材料として活用し、リサイクル率95%を実現している。「循環型社会に向けたエコタイルへの挑戦」をコンセプトに掲げ、自治体や企業と連携しながら研究・開発を推進している。多治見イノベーション大賞をはじめ複数の賞を受賞しており、多治見市の公共施設やNTT研修センターなど、多数の施設で採用実績がある。
writer
Equally beautiful編集部
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