副産物に価値を見出すというサステナビリティ
今回JALが導入するストレッチフィルムには、ある特徴がある。バイオマス素材の原料として、SAF(持続可能な航空燃料)製造時の副産物であるバイオマスナフサを使用しているのだ。
航空業界にとって、SAFは脱炭素化の切り札とされている。だが、その製造過程で生まれる副産物の活用は、これまであまり語られてこなかった。
JALはここに着目した。主役ではない素材を有効活用することで、限られた資源を最大限に使うという考え方だ。
そして、この素材を活用するために選んだのが、マスバランス方式という手法だった。

この方式では、製造過程で複数の原料を混合する際、バイオマス素材の投入量に応じて製品にその特性を割り当てる。投入したバイオマス素材の量を正確に追跡し、それに応じた環境価値を製品に配分する仕組みだ。
さらに、従来の製造設備をそのまま使用できるため、大規模な設備投資が不要となる。バイオマス原料の調達が困難な時期でも製造ラインを止めずに済み、かつ従来の石油製品と同等の物性を実現する…といったメリットもある。
品質は申し分なく、成田空港で実施された検証では、従来品と同等のハンドリング品質が確認された。現場での使い勝手を損なうことなく、環境配慮を実現したのだ。
今回の導入により、JALは中期経営計画で掲げていた「貨物資材への環境配慮素材配合100%」を達成する。

貨物を固定するストレッチフィルムという、旅客の目に触れることのない資材が、この目標達成の最後のピースとなったのだ。