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2024年、なぜ世界の二酸化炭素の排出量は増えたのか

2024年、なぜ世界の二酸化炭素の排出量は増えたのか

2024年、なぜ世界の二酸化炭素の排出量は増えたのか

気象庁が運営するWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)によると、2024年の大気中二酸化炭素濃度の年増加量が観測史上最大となったことが明らかになった。主要な温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素のいずれも世界平均濃度が過去最高を更新したという。

エルニーニョ現象と大規模火災が急増の要因
WDCGGは世界気象機関(WMO)の要請に基づき、気象庁が1990年から運営している国際機関。WMOの全球大気監視計画の下で設立され、世界中から報告される温室効果ガスの観測データを収集・提供する世界で唯一の国際的な機関だ。
ここに収集されたデータはさまざまな解析に活用されており、結果は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP*)の基礎資料、WMO温室効果ガス年報として発表・活用されている。
最新の解析では、2024年までの世界の温室効果ガス濃度について詳細な分析が行われた。その結果、主要な温室効果ガス全ての濃度が増加しており、なかでも二酸化炭素については前年からの増加量が過去最大を記録したことが分かった。
2024年の二酸化炭素排出量は、約423.9ppm(※)。前年からは3.5 ppm増えており、ここ10年間の平均増加量が2.57 ppm/年だったことを踏まえれば、3~4割増加していることになる。
※ppm は大気中の分子 100 万個中にある対象物質の個数を表す単位
この急激な増加の背景には、2023年春から2024年春にかけて発生したエルニーニョ現象が大きく影響している。エルニーニョ現象に伴う高温と乾燥により、森林などによる炭素吸収能力が低下した。さらに、干ばつによって引き起こされた大規模火災が各地で発生し、大気中への二酸化炭素排出量が増加したことが、濃度上昇の原因とされている。
止まらない二酸化炭素。2024年は増加量観測史上最大を記録
観測史上最大となった二酸化炭素の増加量。危機的状況を打開するには、政府レベルから個人レベルまで、それぞれ主体性をもった具体的な行動が必要だ。
個人や家庭でできる取り組みは決して小さなものではない。省エネ家電への切り替え、公共交通機関や自転車の利用、食品ロスの削減、地産地消の実践など、日常生活における選択の積み重ねが大きな変化を生み出す。
とくにエアコンや照明の適切な使用、プラスチック製品の削減や、再生プラスチックの積極的な活用といった行動は、家計の負担を軽減しながら温室効果ガスの排出削減にもつながる。
また、政府レベルでは、再生可能エネルギーの活用、森林保全、産業や企業への排出規制の強化、公共交通網の整備、それらの関連カテゴリーへの積極的な資金・人材投資が必要になってくる。加えて、未来を生きる若者、学生たちへの教育も重要だ。環境のことをはじめ、SDGsの周知と実現に向けた行動について、学ぶことも必要だ。
実際に、学校から出るゴミを減らすべくマイボトルを持参したり、生徒自ら「SDGs部」を設立しあらゆる課題について議論するなど、部活動を通じてSDGsや環境について理解を深めている中学・高校もある。
そしてもう一つ重要なのが、国同士の連携だ。ひとつの国が積極的に排出量低減に努めただけでは効果がない。我々人類が暮らす地球の代わりは、いまのところ存在しないという当たり前の事実を改めて再認識する必要があるだろう。
writer
Equally beautiful編集部
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