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世界初、海に流れても分解される人工芝が誕生

世界初、海に流れても分解される人工芝が誕生

世界初、海に流れても分解される人工芝が誕生

スポーツ用品メーカーのミズノと化学メーカーのカネカは、世界初の生分解性バイオポリマーを使用した人工芝「生分解性人工芝シリーズ」を共同開発した。

スポーツを楽しみながら環境を守る
マイクロプラスチックの流出問題は、海洋環境に深刻な影響を与えており、世界各国で対策が求められている。人工芝や充填材の原料の多くは、石油由来の樹脂。経年劣化による摩耗や雨風によって意図せず海に流出してしまうケースが報告されている。
加えて人工芝は、自治体により「可燃ゴミ」または「不燃ゴミ」として扱われ、処分方法も統一されていない。リサイクルや処理方法について、早急な対策が必要だった。
今回開発された「生分解性人工芝シリーズ」は、仮に充填材や摩耗した人工芝葉が海に流出しても、海中で水と二酸化炭素に完全に分解されるため、マイクロプラスチックの発生を限りなく削減できる。
世界初、バイオ分解が可能な人工芝が誕生
人工芝では初めてパイル部分にカネカの生分解性バイオポリマー「Green Planet」を使用した屋内型ロングパイル人工芝だ。自然界に存在する微生物によって生分解され、最終的には二酸化炭素と水に分解される。
バイオポリマーとは、生物由来の原料から作られる高分子化合物のこと。今回使用されているカネカの「Green Planet」は、PHBH(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート重合体)というバイオポリマーで、植物油などを原料に微生物によって生産される。
95%以上がバイオマス由来の生分解性バイオポリマーで構成されているため、従来の石油由来のものと比較して石油使用量とCO2排出量の大幅な削減を実現している。
「Green Planet」の大きな特徴は、これまで困難とされていた海水中での生分解を実現していること。2017年には海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」を取得している。
世界初、バイオ分解が可能な人工芝が誕生
技術面では、樹脂の特殊な配合と製造条件を最適化することで、これまで実現が困難であったモノフィラメント(※)の製造に成功している。製造条件と断面形状を精密に設計することにより、一般的な人工芝の風合いに近い仕上がりになっている。人工芝としての性能も、従来のミズノ人工芝と同等だ。また充填材についても、従来品と同等のクッション性を維持しながら、水よりも重く設計することで流出しにくい構造となっている。
※より天然芝に近い感触を得られる人工芝の構造のこと
ミズノとカネカは今回開発した「生分解性人工芝シリーズ」を、全国のスポーツ施設や商業施設への導入を目指している。さらに、カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planetを使用した屋外型海洋生分解性人工芝の開発も並行して進められており、より幅広い用途での展開が期待される。
世界初、バイオ分解が可能な人工芝が誕生
多くのスポーツ施設で環境にやさしい選択肢が提供されることこそが、次世代に美しい海を残すための希望となりそうだ。
writer
Equally beautiful編集部
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