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LEGO®が進める新素材開発。漁網やエンジンオイルがタイヤパーツに生まれ変わる

LEGO®が進める新素材開発。漁網やエンジンオイルがタイヤパーツに生まれ変わる

LEGO®が進める新素材開発。漁網やエンジンオイルがタイヤパーツに生まれ変わる

レゴグループは、使用済みの漁網やロープ、エンジンオイルを再生して製造した新素材を用いたLEGO®タイヤを発表した。新素材はすでに一部のセットに導入されており、2025年末までには約120のレゴセットに採用される予定だ。

600種類以上の新素材をテスト
1949年よりプラスチックの玩具製造を続けているレゴグループ。多くは石油を原料とするプラスチックを使用したプロダクトを製造していたが、環境問題やサステナブルな社会の実現のために、デンマークの本社にサスティナブル素材センターを設立し、2030年を目標に現在の原材料に代わる持続可能な代替品を特定して投入する計画を立てている。
今回、LEGO®に使われるタイヤパーツに再生素材「rSEBS」(リサイクル・スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)が採用され、一部のセットに導入されている。「rSEBS」は廃棄された漁網やロープ、リサイクルされたエンジンオイルから作られており、化石燃料への依存から脱却する狙いだ。
初期段階では7種類のレゴタイヤに適用されており、それぞれに30%以上のリサイクル素材が含まれている。外観や性能は従来品と変わりなく、品質・安全性・耐久性の基準を満たしている。
レゴグループ最高サステナビリティ責任者のアネット・ステュベ氏は、「このタイヤは、より持続可能なレゴ製品を実現し、化石燃料への依存を減らすという我々の長期目標にとって、大きな一歩である。5年にわたる開発とテストを経て、ようやく実製品に導入できたことを非常に嬉しく思う。」とコメントしている。
レゴグループでは「rSEBS」だけにとどまらず、複数の素材研究を同時並行で進めており、これまでに600種類以上の代替素材をテストし、新素材「bio-PE」、「arMABS」、「ePOM」の採用が始まっている。
「bio-PE」(バイオポリエチレン)は、2018年から導入されているバイオプラスチック素材で、サトウキビを原料としている。現在では200種類以上のレゴパーツに使用されており、セットの半数以上に少なくとも1つは含まれている。
「arMABS」(再生人工大理石)は、2024年から透明パーツ(ライトセーバー、風防、窓など)に導入。キッチンカウンターに使用される人工大理石由来の素材を20%含み、900種類以上のパーツに採用されている。今後、85%以上のセットへの展開を予定している
「ePOM」( e-メタノール)は、再生可能エネルギーとバイオ廃棄物由来のCO₂を用いたe-メタノールの導入に向け、業界パートナーと協力。これにより製造されるePOMを、今後ホイールの軸などに使用する予定だ。
加えて、2024年後半の時点で、レゴグループが調達する樹脂のうち30%が「マスバランス原則」に基づいた認証を受けており、その平均で22%が再生可能原料に由来している。
このように新素材を採用する研究を続けているレゴグループのサステナビリティ計画だが、困難にも直面している。2023年、レゴはリサイクルされたペットボトルからブロックを作る研究開発プロジェクトを製造過程の複雑さから中止している。新素材を使用し、従来と同じ品質を保つことが難しいためだ。しかし、それでも研究は続けられ、確実に新素材を使ったパーツの割合は増えている。サステナブルな社会の実現のため、ひいてはブロックで遊ぶ子供たちの未来のためにレゴグループは挑戦を続けている。
writer
Equally beautiful編集部
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