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“無印らしさ”を忘れない、良品計画の脱炭素化計画が進行中

“無印らしさ”を忘れない、良品計画の脱炭素化計画が進行中

“無印らしさ”を忘れない、良品計画の脱炭素化計画が進行中

良品計画(無印良品)と電力大手のJERAは6月25日、再生可能エネルギー発電事業を手がける合同会社「MUJI ENERGY(ムジエナジー)」を共同設立することで合意したと発表した。2025年9月の設立を予定しており、小売業界における脱炭素化への新しいチャレンジがスタートした。

脱炭素化と「感じ良い暮らしと社会」を目指す
新会社「MUJI ENERGY」は、良品計画が80%、JERAが20%を出資し設立され、再生可能エネルギー発電事業を主に行なう。発電により創出した環境価値はJERAの子会社であるJERA Crossを通じて供給され、無印良品の店舗におけるCO2排出量削減に活用される。
JERAは東京電力と中部電力の火力発電事業を統合して2015年に設立された日本最大の火力発電事業者。JERA Crossは、太陽光発電所の開発・運営に関するノウハウも持っており、今回の合弁事業においても発電設備の設計・建設・保守管理の技術的サポートを提供する。
良品計画が電力事業に参入した背景には、全国約400店舗の電力供給における環境負荷削減という課題がある。とくににショッピングモールなどのテナント店舗では、建物の制約により太陽光パネルの設置が困難なケースが多く、環境に配慮した電力の調達の障壁となっている。
この度MUJI ENERGYが採用したのは「バーチャルPPA」と呼ばれる方式だ。これは物理的な電力供給を伴わず、再生可能エネルギー由来の環境価値のみを取引する仕組みだ。
MUJI ENERGYが太陽光発電で生み出した電力を日本卸電力取引所(JEPX)に供給し、環境価値については良品計画が全量を取得する。これにより良品計画は発電所を直接所有することなく、再生可能エネルギー由来の環境価値を確実に取得できる。
“無印らしさ”を忘れない、良品計画の脱炭素化計画が進行中
MUJI ENERGYは設立から1年間で約13MW規模の太陽光発電設備の開発を予定している。これは良品計画の年間電力使用量の20%に相当し、この数値は、一般家庭約1,600世帯分の年間電力使用量に相当する量だ。あわせて年間約8,000トンのCO2の排出削減も実現する。
本プロジェクトで特筆すべきは、発電設備周辺の自然環境や住民への影響に配慮した設備用地の選定を実現するため、専門の発電事業会社を設立したこと。
良品計画は「感じ良い暮らしと社会」の実現を掲げており、環境配慮は同社の経営理念にも通じている。単なる再生可能エネルギーの導入にとどまらず、地域社会との共生を重視した“無印らしい”イメージを大切にした事業展開を行なう。
今後、MUJI ENERGYはさらなる設備拡張も視野に入れている。良品計画の年間電力使用量に占める再生可能エネルギーの比率を段階的に引き上げることで、2030年には温室効果ガス排出量50%削減目標の達成を目指すという。
このような協業が成功すれば、他の小売事業者や製造業者にも同様の取り組みが広がることが期待される。しかし、実物を伴わない環境価値やバーチャルPPAといった概念を、現物を取り扱う小売事業者がどの程度理解し受け入れていくのか、今後の動向に注目が集まる。
writer
Equally beautiful編集部
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