コンビニエンスストアとサステナビリティの両立を
「コンビニエンスストアの価値は、“欲しいものを欲しい時に”買えることです。そのために食品のみならず、衣服、日用品といったものを取り扱っているのです。さらに、“便利”という言葉の枠を越えて、災害やコロナ禍といった状況下では“生活に必要なものを買える”インフラとしても機能しています」
そう話すのは、ファミリーマート サステナビリティ推進部 部長の大澤さん。
「ただ、コンビニエンスストアがここまで世に根付いたからこそ、ビジネスとサステナビリティを両立させていく責任があるとも考えています。そこで私たちファミリーマートが環境中長期目標として掲げているのが、『ファミマecoビジョン2050』です」
2020年に策定された『ファミマecoビジョン2050』の柱は、温室効果ガスの削減、プラスチック対策、そして食品ロス削減の三つ。その中でもファミリーマートの強い意志を感じられるのが、プラスチック対策と食品ロス削減です。
ファミリーマートでは日々大量の食品が製造され、食品を保護するためにプラスチック容器が使われます。店舗を運営していく上では避けては通れないこの問題に対して、2050年までに食品ロスを80%削減、すべての容器・包装を環境配慮型素材に切り替えるという大きな目標を掲げているのです。
「食品の製造過程では、形や色が悪いから販売できない規格外品がどうしても出てしまいます。また、食品を成形するにあたって端材の発生も避けられません。ですが、どちらも美味しく食べていただけるものではあるんです。そこで、規格外品や端材の一部をアイスやスープの具材として再活用しています」
製造段階の工夫として他にも、食品が長期保存できるような包装の開発にも取り組んでいます。食材を余すことなく使い、製造された食品を少しでも長持ちさせる。コンビニエンスストアと食の問題が切っても話せないものであれば、多角的なアプローチで解決しようというわけです。
選別工程で規格外品となったバナナを使用したソフトクリームバー。2025年8月26日から販売 ※一部の店舗では取り扱いがない場合がございます。
「店頭では、売上データを活用して最適な品ぞろえを提供するといったことも行っています。しかし、最終的に重要なのは、お客様にも食品ロス削減に楽しみながら参加していただくことです」
そうして誕生したのが、『涙目シール』です。
いつの間にか、環境にいいことに参加する
「仕組みはいたってシンプル。皆さんがスーパーなどでよく目にする値引きシールに、イラストを添えただけです。2025年の3月から全国展開しているのですが、従来の数字だけの値引きシールよりも明らかに反応がいいんですよ」
涙目シールの導入によって、従来よりも対象商品への注目が増加。店舗によっては大きく売上を伸ばしており、年間約3,000トンもの廃棄削減効果があると見込んでいます。
「環境に対して、いいアクションをする。それ自体は素晴らしいことだと思いますが、気をつけなければ上から目線や押し付けになってしまいますよね。それから、どんなにいいことをしていたとしても、知られなければ上手く機能しません。その点涙目シールは、“一緒に食品ロスを減らしてみませんか?”というコミュニケーションになっていると思います」
共感を呼んで、食品ロスを減らす。それはつまり、知らず知らずのうちに、“環境にいいことに参加している”ということでもあります。
その姿勢は、プラスチック対策にも通じています。
「たとえば、プラスチックのスプーンの持ち手の部分に穴を開ける。それまで四角形だったサンドウィッチ上部の包装を、台形にする。些細なことと感じるかもしれませんが、ファミリーマート全体で見た時のプラスチック削減量は大きなものになります。このように、お客様に購入いただける商品が、“環境に配慮している”状況を作っているわけですね」
ファミリーマートでは、大澤さんが話したようなプラスチック削減だけではなく、プラスチック素材の置き換えや、プラスチック素材そのものをエコにする活動も行っています。その中には、日本初となるような試みも。
「2021年、マスバランス方式を採用したバイオポリプロピレン(バイオPP)を、パスタの容器に採用しました。このバイオPPは食用廃油などを原料としていて、温室効果ガスを大幅に削減できます。以後もおむすびのフィルムなどに採用していて、見た目ではなかなかわかりにくいものの、着々と環境配慮型素材への切り替えは進んでいます」
こうしたプラスチック対策は『ファミマのエコパケ』プロジェクトとして実施され、これまでに約40施策が実現しています。一つひとつ、丁寧に積み重ねていくことでファミマecoビジョン2050実現への道を着実に進めています。
そして、サステナビリティを追求するその視線は、ファミリーマートだけではなく、社会に広く向けられています。その代表例が、『ファミマフードドライブ』です。
地域と共に歩む、ファミマフードドライブ
ファミマフードドライブは、家庭で余った食品をファミリーマートの店舗で回収し、支援団体に寄付する取り組みです。2021年の開始から5年で、約5,000店舗にまで拡大。累計で約500トンの食品※が寄付されています。
※2025年8月末時点。
※2025年8月末時点。
「元をたどると、ファミリーマートが以前からやっている『ファミマこども食堂』がきっかけでした。ファミリーマートの店舗の一部を利用したこども食堂で、当初は “ファミリーマートがやる必要があるのか?”という声もありました。いざ実施してみると、参加者はもちろん、開催店舗がとても喜んでくれたんですよ。地域のこどもたちと直接触れあい、お店が必要とされていることを実感できるから、モチベーションに繋がると」
しかし、コロナ禍で状況は一変し、ファミマこども食堂を含むこども食堂の活動全体にブレーキがかかってしまいます。活動の縮小や自粛を余儀なくされるこども食堂が増えた中で、活動継続の支援につなげたいとの思いで始まったのがファミマフードドライブでした。
フードドライブの回収ボックス。普段はカバーで覆われて見えないが、海洋プラスチックを利用した素材が使用されている。
「最初は加盟店の一店舗が、地元のNPO団体と連携して始めたことでした。その取り組みがとても素晴らしかったので、ファミリーマート全体でやろうと、プロジェクト化したんです」
ファミマフードドライブで集まった食料は、こども食堂や食べ物に困った方々にこの取り組みに協力するパートナー団体を通じて提供されます。2025年からは2月22日(ねこの日)に、ペットフードの寄付を募る「ペットフードドライブ」を実施。こちらは、保護猫の食事支援として活用されています。
「フードドライブ自体は様々な場所で行われていますが、時間を気にせずいつでも寄付を受けいれられるのはコンビニエンスストアであるファミリーマートならではですよね。地球環境を守ることも大事ですが、社会課題を解決することも、私たちの大事なミッションの一つなんです」
社会にとっても、地球にとっても、もっとも身近な存在であるために。歩みを続けるファミリーマートが今後どんな未来を目指していくのか、最後にお聞きしました。
共創の未来へ
「目指すのは、ビジネスとサステナビリティの両立です。涙目シールやプラスチック対策のように、共感できる・気づかないうちに参加できる取り組みに今後も力を入れていきたいですね。一方で今課題に感じているのが、分かりやすく伝えることです。どの商品がエコなのか、情報として行き渡っていないのが現状なんですよ。ゆくゆくは“選んで手に取ってもらえる”ことを目指し、お客様とのコミュニケーションを取っていきたいと考えています」
コンビニエンスストアである以上、避けられない大量生産と大量消費。そこに真摯に向き合いながら、お客様との共感の輪を広げ、いつの間にか参加できる仕組みを作り上げる。そして時には、企業という枠を越えて社会との接点を持つ。未来を共創するため、ファミリーマートはこれからも進み続けます。