すべては等価値の世界に。人の命と地球の命はEqually(等価)である、ますます関心が高まる環境問題に焦点を当てた注目の連載!
バイオなプラスチックがトレンドになりそうな予感。
この原稿を書くために自分の身近なものを少しチェックしてみた。するとこんなものももうバイオマスプラスチックが使われているのだ! とびっくりしたことがある。それはジャケットを買ったときのケース、いわゆるガーメントケースだった。パリコレブランドである、<Maison MIHARA YASUHIRO>のデザイナー三原康裕さんは環境問題にも関心が深く、いち早くこうした取り組みをしていたようだ。
こうした消耗品は大量発注するからなかなかエコ関連を導入することは難しいと思っていたけれど、関心の高いブランドは早々に切り替えているのだ。
そんなファッション業界にもどんどん浸透しているバイオマスプラスチックだが、バイオマスプラスチックを少し考えてみたいと思うのだ。
まずは環境省の資料を見てみよう。
「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向けた取組を行うこととされている。その中で、化石資源をはじめとする枯渇性資源の使用削減、温室効果ガスの排出抑制、海洋の新たなプラスチックごみによる汚染をゼロとしていくための必要な施策として、バイオプラスチック(バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの総称。) の利用が注目されている。」(環境省・バイオプラスチック導入ロードマップより抜粋)
ファッション界に広がりつつあるバイオなプラスチックはまさにこうしたロードマップに即していたというわけだ。ちなみに「カーボンニュートラル」とは「カーボン=炭素」を「ニュートラル=偏らない」状態にすること。つまり、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制して、二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロになる状態にすること。そのためにエネルギーの利用の仕方や、製造のシステムを変化させていくことが必至なのだ。
バイオ品と今までの石油化学品(石化品)とでは地球に対するダメージは変わってくる。バイオ品は植物由来ゆえに植物の育成の時に吸収するCO2で焼却時に発生するCO2を相殺することができるので、CO2の排出量は石化品の2〜3割程度に抑えられる。
では、そもそも「バイオプラスチック」とは何か? バイオプラスチックはふたつの大きな流れがあることがわかる。
ひとつは「生分解性プラスチック」。こちらは読者の方にも耳馴染みが出てきているかもしれないが、環境省はこんな定義をしている。
「プラスチックとしての機能や物性に加えて、ある一定の条件の下で自然界に豊富に存在する微生物などの働きによって分解し、最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つ。原料として植物などの再生可能な有機資源、又は、化石資源を使用したもの。」(環境省・バイオプラスチック導入ロードマップより抜粋)
これは処分するときに地球に優しいというのが特長であろう。
そして、もうひとつが「バイオマスプラスチック」といわれるもの。こちらはまだ聞き馴染みがない人も多いかもしれないが、覚えておいたほうが良いと思う。なんといってもトレンドなワードだから。こちらの定義は、
「原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するプラスチック素材。」(環境省・バイオプラスチック導入ロードマップより抜粋)
このふたつ、つまり、「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」の総称を「バイオプラスチック」と呼んでいる。
今注目したいのは、バイオマスプラスチック
環境省のロードマップでも、バイオマスプラスチックに注目していることがわかるくだりがある。
「プラスチック資源循環戦略」においては、基本原則として3R+Renewableを掲げ、より持続可能性が高まることを前提に、プラスチック製容器包装・製品の原料を、バイオマスプラスチックをはじめとする再生可能資源由来の素材に適切に切り替えていく等の方針を重点戦略として提示するとともに、バイオプラスチックの導入に向け(後略)」(環境省・バイオプラスチック導入ロードマップより抜粋)
プラスチック産業をバイオマスプラスチックへと順次切り替えていくことがサスティナブルな世の中に必要なのだというわけだ。
ちなみに3R+Renewableとは何か? まず、3R。
循環型社会を目指すためのキーワードで、Reduce(リデュース:ごみを減らすこと)。Reuse(リユース:何度も使う=再使用)、Recycle(リサイクル:使えなくなったものは資源に戻す:再資源化)といった3つの「R」を「3R」という。
そして、Renewableは語義的には「再生可能」という意味で、ここでは「持続可能な資源」という意味で使われている。太陽光線、風、潮の干満などは典型。
「サスティナブル」と自分たちとの関連はいつの間にか、そして急ピッチで深いものになってきている。次は今回注目した「バイオマスプラスチック」についてもう少し詳しく見て行きたいと思う。
転載元:OPENERS