農業分野の新たなアプローチでSDGsに貢献
脱炭素社会に向けたグローバルな取組
伊藤忠商事は、国際的に幅広いビジネスを展開する中で、脱炭素社会の実現に寄与する事業に取り組み、持続可能な社会の実現に向けた課題の解決を目指している。
この度、伊藤忠商事は、ADNOCが販売を開始したブルーアンモニアを日本に輸入し、肥料用途としてマーケティングを開始することを発表した。ADNOCは、アラブ首長国連邦(UAE)の国営石油会社で、その規模はUAE最大。バリューチェーンの低炭素化において主導的な役割を果たしており、ブルーアンモニアなどの水素キャリア(※)の新興市場のパイオニアでもある。
※ 水素キャリアとは、水素を輸送貯蔵するのに扱いやすい別の材料(主に液化水素・有機ハイドライド・アンモニア)に変換したものを指す。
※ 水素キャリアとは、水素を輸送貯蔵するのに扱いやすい別の材料(主に液化水素・有機ハイドライド・アンモニア)に変換したものを指す。
肥料や工業用アンモニアの年間製造量は、全世界で約2億トン。その製造時には3億トン規模のCO₂を排出しており、気候変動への影響が指摘されている。今回ADNOCが輸出するブルーアンモニアは、天然ガスからアンモニアを製造する際に排出されるCO₂を分離回収し、地下へ貯留する。そのため、従来のアンモニアと比較してCO₂排出量を大幅に削減できるという。なお、ADNOCは2025年までに100万トン規模の製造能力を持つブルーアンモニアプラントを建設する予定で、市場に大きなインパクトをもたらすことが予測される。
伊藤忠商事はそのような背景を踏まえ、国内初となる肥料用商用ロットでのブルーアンモニアの輸入を10月にスタートする。合わせて、宇部興産をはじめとした国内及び海外の肥料メーカーに製造を委託し、農家や農園に向けて販売を行っていく。これは農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」の中の『2050年までに農林水産業におけるCO₂ゼロエミッション化の実現』にも則したものとなっており、化学肥料におけるライフサイクルベースでのCO₂削減対策に繋がる。
伊藤忠商事は2022年以降、肥料用ブルーアンモニアの取扱量を1~2万トンに増やす計画を描いており、農業分野の持続的な成長に向けて邁進していく考えだ。