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再資源化の「出口」を見据えることが、サステナビリティの鍵となる

再資源化の「出口」を見据えることが、サステナビリティの鍵となる

再資源化の「出口」を見据えることが、サステナビリティの鍵となる

愛知県名古屋市に拠点を置く株式会社REMARE社は、トヨタ自動車の新事業企画部が推進するTOYOTA UPCYCLEと協業し、自動車業界のサプライチェーンで発生する複合廃棄プラスチックを利用した素材を開発するプロジェクトをスタートした。

「扱いづらい廃棄物」を解決する
自動車業界では、安全性・耐久性・軽量化といった高度な品質要件を満たすために、複数素材を組み合わせた複合プラスチックが広く使用されている。製造工程では、端材や工程廃材が多く発生するが、素材の複合性ゆえに再資源化が難しいという課題がある。実際その一部は、焼却・埋立処分されているのが現状だ。
こうした廃棄物は量・品質ともに一定であるにもかかわらず、明確な解決策がないまま見過ごされてきた。近年では、Scope3排出量の開示義務化の動きを背景に、サプライヤー由来の廃棄物が完成品メーカーにとっても無視できない経営課題となっている。Scope3とは、自社以外のサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を指すため、チェーン全体をコントロールする必要があるのだ。
再資源化の「出口」を見据えることが、サステナビリティの鍵となる
本プロジェクトの特筆すべきポイントは、廃棄物をあらかじめ特定の製品用途に当てはめるのではなく、まず「素材として成立させること」を優先しているところ。素材特性・耐久性・加工性・意匠性などの観点から再設計を行い、今回は建築・内装・什器・展示といった分野に的が絞られている。
この分野は一定量の素材を継続的に吸収でき、素材の価値を可視化しやすい。REMAREはこの特性を活かし、産業廃棄物の再資源化後の「出口の最大化」を図る考えだ
再資源化の「出口」を見据えることが、サステナビリティの鍵となる
本プロジェクトが目指すのは、単なる素材再利用にとどまらない。SSBJやCSRDといった開示要請が強まる中、自動車サプライチェーンで発生した複合プラスチックを、同じ産業の枠内で再び価値として活用する「産業内循環(クローズドリサイクル)」の実務モデルとして成立させることが狙いだ。
製造工程で生まれた廃材がマテリアルに再構成され、家具や什器として形を変え、オフィスや施設空間で再び使われる。この循環が実現することで、焼却・埋立てに依存しない新たな資源の流れが生まれるのだ。
廃棄物の再資源化について、これまで問われてきたのは「どう処理するか」だった。本プロジェクトが示そうとしているのは、その先、「再生した素材は、どこへ行くのか」だ。出口を最初から見据えることで、循環はシンプルになり、プロセスが複雑になるほど、サステナビリティは遠のく。素材が社会や産業を確実に巡り続けるために必要なのは、壮大な仕組みではなく、出口を見据えた逆算なのかもしれない。
Q&A

Q.TOYOTA UPCYCLEとはどんなプロジェクトですか?
2021年4月にトヨタ自動車の新事業企画部が始動したプロジェクト。カーボンニュートラル推進の一環として、製造工程で発生するリユース・リサイクルが難しい廃棄物を新たな価値を持つ製品・サービスへ転換することを目指している。

Q.株式会社REMAREはどんな会社ですか?
「燃やさず、埋め立てず、プラスチックを社会に貯蔵する」をミッションに掲げ、複合プラスチックの再資源化に取り組む名古屋発のスタートアップ。廃棄プラスチックを独自技術で意匠性と強度を兼ね備えた素材として再生し、素材開発からプロダクト化・空間実装まで一貫した支援を行っている。

Q.SSBJとはなんですか?
A:SSBJは、日本におけるサステナビリティ情報開示基準を策定する組織であり、ISSBの国際基準をベースに日本企業向けのルール整備を進めている。主に投資家向けの情報開示を重視し、今後は有価証券報告書での義務化も見据えられている。

Q.CSRDとはなんですか?
A:CSRDは、EUが企業に対してサステナビリティ情報の開示を義務付ける法規制であり、「ESRS」に基づいた詳細な報告が求められる。ダブルマテリアリティの考え方を採用し、EU域内企業だけでなく一定の域外企業にも適用される。

Q.Scop1,2,3とはなんですか?
モノがつくられ廃棄されるまでのサプライチェーンにおけるGHG(温室効果ガス)排出量の捉え方。排出量を算定・報告するために定められた国際的な基準「GHGプロトコル」で示されている。

「スコープ1」は、燃料の燃焼や、製品の製造などを通じて企業・組織が「直接排出」するGHGのことを指す。「スコープ2」は、他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで、間接的に排出されるGHGが対象。「スコープ1」と「スコープ2」は、企業が自社の活動を通じて排出しているGHGを対象としている。「スコープ3」は原材料仕入れや販売後に排出されるGHGが対象。サプライチェーンには、「上流」と「下流」に分類される。本記事の場合は、トヨタ自動車が「上流」、販売会社のほか、自動車を購入して利用する消費者、廃棄される際のスクラップ事業者などが「下流」となる。ある企業から見た時のサプライチェーンの「上流」と「下流」から排出されるGHGを対象とするのが、「スコープ3」だ。
writer
Equally beautiful編集部
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