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「CO2を食べる自販機」は、CO2との関わり方を変えられるのか?

「CO2を食べる自販機」は、CO2との関わり方を変えられるのか?

「CO2を食べる自販機」は、CO2との関わり方を変えられるのか?

アサヒ飲料は、CO2吸収材を搭載した「CO2を食べる自販機」の普及に取り組んでいる。CO2を吸収した後の吸収材は、回収され、他の用途を目的にしたプロダクトに生まれ変わるのだ。二酸化炭素を取り巻く現状は、新たな局面を迎えている。

アサヒ飲料が進めるCO2吸収材の普及
アサヒ飲料は将来世代にワクワクと笑顔をつなげていくための活動「100YEARS GIFT(100年ギフト)」を続けている。環境負荷低減に貢献する取り組みを進めることで、100年先のサステナブルな地球を目指すという内容だ。
その一環として2023年6月より、「CO2を食べる自販機」の設置を進めている。
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自動販売機は周囲の大気を吸い込み、それを利用し商品を冷やしたり温めている。「CO2を食べる自販機」は庫内にCO2を吸収する特殊材を搭載。吸い込んだ大気から、庫内に搭載した特殊材がCO2のみを吸収する。1台あたりのCO2年間吸収量は稼働電力由来のCO2排出量の最大20%。スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当するという。
「三井ショッピングパーク ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真」に初めて設置されてから、約1年後の2024年11月末時点で、国内で350台が稼働している。
吸収したCO2は、取り組みに賛同する各自治体や企業と共創しながら、さまざまな工業製品として活用されている。
2024年7月には一般社団法人伊良部島環境協会と協業し、吸収材を配合させたサンゴ移植のためのコンクリート基盤を製作、海底に設置した。サンゴの骨格形成には、炭酸カルシウムなどの成分が有効と考えられている。炭酸カルシウムを含むCO2吸収材をサンゴ移植の基盤に配合することで、通常の基盤と比較し、発育を促す狙いだ。
そのほか日本エムテクスと共同で、吸収材を主原料とした内装用タイル「二酸化タイル」を開発し、特許を出願している。
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タイルの主要成分はCO2 を吸収した吸収材と高炉スラグ(※)で、成分の約90%がアップサイクルされたもの。また、モルタルを圧縮・硬化させる工程で製造するため、一般的なセラミックタイルと製造工程が異なり、1200~1300 度ほどで焼成する必要が無い。その結果、製造時のCO2排出を大幅に抑えることにも繋がっている。
現在は床材として展開を進める予定だが、将来的には建築材に必要な不燃認定の取得やサイズアップを目指し、壁材として使用することも視野に入れているという。
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人々が生活を営む上で、CO2が排出されることは避けられない。以前から排出量削減の試みは行われてきたが、ついにCO2の吸収という、植物の光合成の時にしか語られないステップまで研究開発は進んでいる。上記のように建材や内装材のように暮らしに紐づいたプロダクトが開発されている。もしかすると、より日々の生活に近い、日用品レベルのアイテムに吸収材が使われる日も、そう遠くはないかもしれない。
writer
Equally beautiful編集部
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