大半の製品がプラスチックを使用
長きにわたって乳酸菌飲料「ヤクルト」を作り続けているヤクルト本社。2022年頃にブームになった「ヤクルト 1000」をはじめ、「ジョア」「ミルミル」など、小さいころから親しみのある方も多いのではないだろうか。
「ヤクルト」の歴史を軽くひも解くと、1935年に発売され、当初は瓶容器が用いられ流通していたという。しかし、配達や回収の際に重く負担がかかること、さらに洗瓶といったプロセスが必要なことから、1968年にプラスチック容器へと置き換わった。
早くからプラスチックの環境への負荷を考慮しており、1995年に容器包装の安全性の確保、包材使用量の抑制、処理・処分の適正化、再生資源利用の促進を基本要件とした取り組みを具体化するためのガイドラインを定め、環境負荷の少ない容器包装の設計・使用に努めてきた。
その後もプラスチック製容器包装の資源循環に積極的に取り組み、2019年1月には、「プラスチック資源循環アクション宣言」を発表している。
そしてこの度、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を活用した、マスバランス方式によるプラスチック製容器包装材の導入をスタートさせ、2025年目標を達成したことになる。
現在、ヤクルト製品の多くがプラスチック容器を使用しており、2023年の統計によるとグループ全体で、年間約18,000トンのプラスチック容器包装類を使用している。これらが持続可能な容器包装材に転換できれば、同社の環境への負担が大きく減少することになりそうだ。
その他ヤクルトでは持続可能な社会の実現に向け、原料素材の転換だけでなく、容器包装の薄肉化や軽量化といった製品改良や、自治体等と連携したリサイクルスキームの構築、プラスチック製以外の容器への転換に関する検討を進めている。
海洋プラスチック問題への解決にも着手しており、海洋プラスチックごみが深刻な問題になっているインドネシアにおいて、2021年7月からインドネシアヤクルトは、同国政府が2029年にプラスチック等のごみ総量の30%削減を定めた「生産者によるごみ削減計画」に基づいてヤクルトレディや直販ルートスタッフによるプラスチックごみの回収活動を実施している。
2022年からは、ジャワ島とバリ島の一部地域にて、ヤクルト50本を包装するプラスチック製の再シュリンクフィルムやヤクルト容器の回収をスタートさせた。また、ヤクルトレディがお届け時に使用するビニール袋の削減にも努めている。
“人も地球も健康に”というコーポレートスローガンをもつヤクルト本社。次なる2030年へ向けて「循環資源市場や環境インフラ等の外部環境の整備状況と連動しながら、資源循環しやすい素材へ最大限の転換を図る」という目標を掲げ、動き出している。腸内環境のみならず地球環境にも配慮するヤクルトの実行力に注目だ。