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製品の素材は、廃棄されたビニール傘。アップサイクルブランド「PLASTICITY」

製品の素材は、廃棄されたビニール傘。アップサイクルブランド「PLASTICITY」

製品の素材は、廃棄されたビニール傘。アップサイクルブランド「PLASTICITY」

株式会社モンドデザインが運営する「PLASTICITY(プラスティシティ)」は、廃棄されたビニール傘を再利用するアップサイクルブランド。2020年にアイテムの販売を開始し、以降「10年後になくなるべきブランド」をコンセプトに掲げ、ビニール傘の社会問題に着目したプロダクトを作り出している。今回は、今後さらに展開していく「PLASTICITY」の全容について話を伺った。

ビニール傘の、“面白さ”
EB まず、アップサイクルブランドを立ち上げるにあたり、廃棄のビニール傘に着目された理由/きっかけをお聞かせください。
モンドデザイン アップサイクル素材として廃棄ビニール傘には元々興味がありましたが、そのまま使うには素材が柔らかくプロダクトにするためのいい加工方法が思いつかず、なかなか製作までは実現しませんでした。
その時にPLASTICITYのファウンダーである齊藤明希さんが専門学校の卒業制作でビニール傘のビニール部分を何枚も重ねてアイロンで熱を加えて作るバッグの展示をみて、バッグの素材としても丈夫で見た目もひとつひとつの個性のある質感がプロダクトとして面白いなと思い、弊社と共同開発することになりました。
EB 廃棄されたビニール傘を素材として再生させるプロセスについてお聞かせください。
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モンドデザイン 素材となるビニール傘は全国の商業施設や駅で最終的に廃棄されてしまう傘をまとめて回収を行っています。現在はPLASTICITYの取り組みとして行っているお客様から回収した傘の割合も1割ほどをしめています。
回収した傘は次に骨組みとビニール素材にわける分解作業が埼玉県で行われます。ひとつひとつ構造や大きさも異なるビニール傘はすべて手作業で分解作業が行われています。
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分解されたビニール素材は手作業で洗浄を行い、色や大きさ別に分けて仕分けが行われます。
つぎに仕分けられた素材を何層にも重ねて圧着する工程に入ります。栃木県のプレス工場では色や大きさ別に仕分けられた素材を4層(ビニール傘2本分)に重ねて、熱と圧力を見極めながら圧着していきます。そして圧着されると窓に流れる雨のような質感の素材「Glass Rain」が生まれます。
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この「Glass rain」を次は東京の縫製工場でバッグの形になる裁断と縫製作業に入ります。素材は色味だけでなく状態もさまざまなので検品を行い、なるべく廃棄される部分を少なくして考えながら裁断を行っています。廃材から生まれるため素材の厚みは異なり、縫製を行うのも熟練した職人の技が必要になります。一針一針丁寧に縫製が行われてPLASTICITYのプロダクトが完成します。
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発展し続ける「PLASTICITY」
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EB 「RE:find」シリーズの展示販売やイベント等のユーザーの反響はいかがでしたでしょうか。
モンドデザイン 通常販売している製品ではビニール傘の「サビ」に特化したモデルはなく、「ハウス@ミキリハッシン」とのコラボイベントで「RE:find」シリーズとして共同制作いたしました。ご来店いただいたお客様の中には好きなサビのデザインを探しに来られた方や個性を求められる方が多くいらっしゃいました。
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オンラインストアでもサビのデザインを好むお客様がいらっしゃいますので、そういったお客様にも好きなデザインを選んでいただけるような場や商品を今後も展開していきたいと思っています。
EB 先日発売された、「フォンショルダーバッグ」についてお聞かせください。
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モンドデザイン スマホだけでなくカードやちょっとした小物まで入れることができて旅行時には財布代わりとしてご使用いただけます。傘の素材「Glass Rain」とヴィーガン素材の「アップルレザー」の新素材を組み合わせたバッグなので、もっているだけで会話の話題にもなり、普段の服装の中に自然と環境にやさしい素材を取り入れて楽しんでいただきたいと思っています。
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「PLASTICITY」の掲げる想い
EB 最後に、貴社が「PLASTICITY」を通してどのような社会を創りあげたいかについてお聞かせください。
モンドデザイン 私たちがコンセプトとして掲げている「10年後になくなるべきブランド」は、日本で大量に捨てられてしまうビニール傘が製品を作られなくなるぐらい廃棄される量が減ってほしいという想いが込められています。
そのためにはビニール傘のリサイクル方法が確立されたり、使い捨てのイメージが強いビニール傘が使い続けられるものになったり、消費者の使い方や意識だけでなく生産者にも未来へのメッセージとして製品を通して伝えていきたいと思います。
特に意識せずとも、誰もがエシカルな暮らしをする社会。そんな未来を導いていきたい。
writer
Equally beautiful編集部
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