持続可能なリユース容器を使用し、環境課題の解決を加速
昨今、海洋プラスチックごみなど、地球環境に悪影響を与える廃棄物の問題が深刻化。材料から製品を生産し、利用・消費後に廃棄処分するという従来の“直線型経済”から、サステナブルな“循環型経済”への転換が進んでいる。国内外でプラスチックの"使い捨て"習慣を見直し、ごみを減量する「リデュース」や繰り返し使う「リユース」に対する機運がますます高まっているのだ。
LOOPは米国に本社を置く、TerraCycle（テラサイクル）が開発した循環型ショッピングプラットフォーム。テラサイクルとは、2001年の創業、「捨てるという概念を捨てよう」というミッションのもと、廃棄物問題に革新的な解決策を生み出す環境ソーシャルエンタープライズ。大手消費財メーカー、小売業者、都市、施設と協働し、使用済みのハブラシ、製品空き容器やパッケージなど、従来廃棄され、埋立地か焼却所にたどり着くしかなかったモノを回収しリサイクルする事業を現在20カ国以上で展開している。
LOOPでは使い捨て容器は使用せず、繰り返し使用可能なステンレスやガラスなど耐久性の高い素材の容器を利用して食品や日用品を販売。これを使用することで、利用者はこれまでのライフスタイルを大きく変えることなく、普段通りの生活で食品や日用品の容器を継続して利用しながら、環境負荷の低減やゼロ・ウェイストの達成が可能となるのだ。日本でも2021年5月下旬から実証実験が始まっている。
そのパートナー企業となった資生堂は、日本のLoop ECサイトでは初のスキンケア商品として、スキンケアブランド「アクアレーベル」の「スペシャルジェルクリームA （オイルイン）」を発売。LOOP専用商品として、高い耐久性と高級感を兼ね備えたリユース可能なガラス容器を独自に開発した。購入時に商品価格に加えて支払う預り金は、容器返却時に購入者に全額返金される。
容器のデザインはLOOPが象徴する「循環」がコンセプトになっている。さらに、アクアレーベルが大切にしている「水」をモチーフに、「巡り、生命力」を表現したシンプルでインテリアに馴染みやすいデザインとなっている。
同じくブランドパートナー企業として参画した味の素は、キッチンで繰り返し使用される調味料である「ほんだし®」、「味の素KKコンソメ」顆粒タイプ、「丸鶏がらスープ」の和・洋・中の風味調味料3製品について、再使用容器を用いたLOOP専用の新製品を発売。
LOOPのコンセプトを表現した循環型オリジナルロゴと、おなじみのブランドロゴを組み合わせてデザインされている。専用の再使用容器に入った製品を生活者が購入、利用した後、空になった容器を回収して洗浄殺菌し、新たに中身を詰め直して販売するプラットフォームで、使用後に廃棄されるプラスチック容器を主とした使い捨てのごみを削減することを目的にしている。
さらに2021年5月には、小売店パートナーであるイオンが首都圏19店舗でLOOPの商品の販売を開始。また、ループ・ジャパンは5,000世帯を上限として、8月開設ECサイトへの参加希望者の受付を始めた。Loop ECサイトでは⾷料品や⽇⽤品など17商品の発売を予定しており、実証実験を通じて将来的により多くのユーザーが使用するプラットフォームを⽬指す意向だ。
伊藤忠商事は、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において幅広いビジネスをグローバルに展開する大手総合商社。2019年9月に持続可能なリサイクルビジネスの展開を目的として、テラサイクルと資本・業務提携を締結しており、その後同社との事業展開の中でLOOPの日本国内での展開について目的が一致し、この度の提携となった。当社は本提携を通じてループ・ジャパンと協力し、日本国内における流通の中間を担う、オフィシャルディストリビューターとして本サービスの普及を図るものである。
伊藤忠商事は中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針に『「マーケットイン」による事業変革』と『「SDGs」への貢献・取組強化』を掲げている。マーケットインとは、 顧客のニーズに焦点を当てて 製品開発・販売を行うマーケティングの考え方だ。
本提携を機に従来の小売業やEC企業向けの日用品や食品包材等の供給や商品開発に加えて、リユース領域でLOOPのサービスを追加し、小売り事業にマーケットインの発想で磨きをかけるとともに、SDGsの新たな機能を付与したプラットフォームを構築、より広範囲なニーズにあったシステムを提供することで、世界の持続可能な発展に向けた循環型社会の実現に貢献していく。
