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「延期」は後退なのか? フランスが問い直す、環境規制の進め方

「延期」は後退なのか? フランスが問い直す、環境規制の進め方

「延期」は後退なのか? フランスが問い直す、環境規制の進め方

2026年1月1日。その日、フランスでは使い捨てプラスチックカップの完全廃止が実現するはずだった。しかし、2025年12月末に公布された改正省令は、その期限を2030年へと延期した。完全廃止を撤回したわけではない。だが、この足踏みは何を意味しているのだろうか。

「完全廃止」への積み重ね
EUの使い捨てプラスチック規制は、EU全体の指令(SUP指令)を、各国の法律へ落とし込む形で進んできた。フランスはその中でも先行的な立場を取り、段階的に規制を強化してきた国の一つだ。
2023年には使い捨てカップへの課金制度を導入。2024年には飲食店や職場、スポーツ施設における店内消費での使用を禁止した。
すべては、2026年に設定された「完全廃止」というゴールに向けた積み重ねだった。
理想に追いつけない技術
だが2025年、フランスのリスク予防総局(フランス政府の技術審査機関のこと)が公表した技術評価は厳しいものだった。
現段階では、プラスチックを完全に排除した使い捨てカップを産業規模で製造することは困難である。
傍から見れば、2026年1月1日が目前に迫ったタイミングでの発表は唐突に映るかもしれない。注目すべきは、素早い軌道修正だ。
2030年を新しい期限とし、2028年には進捗を確認するための中間レビューが設けられた。
また、2030年の禁止施行後も、それ以前に製造・輸入された在庫については販売できる猶予期間が6ヶ月から12ヶ月に延長された。
見ようによっては、これは単なる後退だ。だが、掲げた高い目標のために、足元を見直したとも言える。2030年に待っているのは、使い捨てプラスチックカップの完全廃止か、更なる見直しか。
EUの中で先行してきたフランスの判断は、同じ課題に向き合う他の加盟国の規制の行方にも、少なからず影響を与える。今後、EUは使い捨てプラスチックカップとどう向き合ってくのか。その動向に注視していきたい。
「延期」は後退なのか? フランスが問い直す、環境規制の進め方
本記事を読み込むうえで押さえておきたいポイントを、Q&A形式で整理した。制度の背景や延期の意味、今後の見通しについて、簡単に確認してみたい。
Q. フランスはもともと環境規制に積極的な国なのか?
A. EUの中でも先行的な立場を取ってきた国のひとつ。使い捨てプラスチックのストローやカトラリーの禁止に加え、カップへの課金や店内使用の禁止など、EU指令が求める以上の規制を独自に実施してきた。今回の延期も、そうした積み重ねの上での判断といえる。
Q. 2030年まで、何も変化はないのか?
A. ​そうと言い切ることはできない。2024年から実施されている飲食店や職場での店内消費における使用禁止はそのまま継続される。変わったのは「完全廃止の期限」だけで、すでに始まっている規制が緩和されたわけではない。
Q. 「完全廃止」は本当に実現できるのか?
A. 現時点では不透明。2028年に予定されている中間レビューが一つの山場になる。そこで代替技術の進捗が確認できれば、2030年の廃止は現実味を帯びるだろう。逆に技術が追いつかなければ、再び見直しが議論されることになる可能性がある。
writer
Equally beautiful編集部
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