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電子機器の「要」もエコな時代へ

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電子機器の「要」もエコな時代へ

台湾のLITE-ON Technology(以下、LITE-ON)と日本のエレファンテックは、2023年11月15日に低炭素プリント基板の量産化に向けた協業覚書(MoU)を締結した。これにより、エレファンテックは独自技術で製造する低炭素プリント基板「P-Flex」を、LITE-ONが製造するPCキーボードのバックライト用に提供する。これにより、両社は環境負荷を大幅に削減することを目指す。

従来の製造プロセスを刷新。独自製法でエコな基板が完成
現代の生活にとってかかせない半導体。技術革新とともに小型化が進み、コンピューターやスマートフォンの核として我々からは見えないところで機器の機能を司っている。その半導体をほかの電子回路と接続する、要になるのがプリント基板だ。
その製造方法は、基材の全面に銅の薄膜を形成して、その後不要な部分を溶解して廃棄することで回路を形成する。廃棄分はリサイクルなどされることもなく処理されている。また精密機器という性質上、製造には大量の水が使われ、環境負荷の高い製造過程が以前から問題視されていた。多くの機器に使用されているプリント基板の環境負荷を軽減することはサステナブルな社会の実現に向けて不可欠だったのだ。
それを解決すべく、LITE-ON Technology(以下、LITE-ON)と東京大学初のスタートアップ、エレファンテックは、2023年11月15日に低炭素プリント基板の量産化に向け、協業を開始した。
東大初のスタートアップがプリント基板の未来を変える
エレファンテックが開発した低炭素プリント基板「P-Flex」は、独自製法である「ピュアアディティブ法」を活用することで従来とは異なるプロセスで製造されることが大きなポイント。インクジェットプリンタを用いて基材上に銅ナノインクを印刷し、無電解めっきで銅を成長させることで回路を形成する。
初めから必要な部分にのみ配線を形成するため、材料や水の使用量を削減し、環境負荷を軽減できる。エレファンテックでは、この手法では従来に比べて銅の使用量を70%、CO2の排出量を75%、水の使用量を95%削減できると謳っている。
LITE-ONでは、自社が生産しているバックライト搭載PCキーボード200万台にP-Flexを使用する可能性があるとしている。しかし、エレファンテックのP-Flex生産能力は年間数百万ピースと不足しているため、対策としてLITE-ONの生産拠点内にエレファンテックの製造装置を導入して増産することなども検討するという。
エレファンテックは、「P-Flex」を単なる技術革新にとどめず、業界全体のスタンダードにすることを目標としている。その実現に向けた挑戦が今後の注目ポイントとなる。LITE-ONとの提携が成功すれば、環境に配慮した新しい製品群が市場に登場し、低炭素プリント基板製造の未来に革新をもたらすことだろう。
writer
Equally beautiful編集部
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