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役目を終えた太陽光パネルがもたらす「2030年問題」。解決に向けた大きな一歩

役目を終えた太陽光パネルがもたらす「2030年問題」。解決に向けた大きな一歩

役目を終えた太陽光パネルがもたらす「2030年問題」。解決に向けた大きな一歩

耐用年数が経過した太陽光パネルが大量に廃棄される2030年以降に向け、太陽光パネルのリサイクル研究が進められている。愛知県豊田市の企業、ユニソンが開発したのは、太陽光パネルのガラスをリサイクルしたコンクリートブロックだ。

使い終わった太陽光パネルがコンクリートに。独特の風合いが魅力
環境にやさしい再生可能エネルギーとして注目を浴びている太陽光発電。エネルギー自給率が低い日本にとって、太陽光によって得られる電力は、この国の未来を担う重要な要素のひとつだ。
太陽光発電の導入容量ランキングでは、日本はアメリカに次ぐ世界第3位(2021年)にランクインしており、全世界導入量の約11%のシェアを誇る。普及が進んでいる理由の一つが2012年にスタートしたFIT制度(固定価格買取制度)だ。これは、太陽光パネルで発電した電力を、電力会社が一定期間・一定価格買い取ることを国が保証するという仕組みだ。
しかし、太陽光パネルの普及が「2030年問題」という大きな課題を作ってしまった。太陽光パネルの寿命は20年~30年ほど。2030~40年にかけて大量の廃パネルが廃棄されることが予想されている。現在、太陽光パネルはリサイクル義務化されておらず、撤去後の廃パネルは粉砕され埋め立て処分されている。処分場の容量不足や、廃パネルの不法投棄を防ぐためにも、太陽光パネルのリサイクルは不可欠だ。
「2030年問題」解決に向けた大きな一歩
それを解決すべく株式会社ユニソンは、太陽光パネルがリサイクルされる際に排出されるカバーガラスを砂状に加工したコンクリートブロック「サーキュラーぺイブ Solar」を開発した。
このコンクリートブロックは、ユニソンが従来埋め立て処分されてしまう廃棄物を新たな素材として活用し、コンクリート製品の材料に生まれ変わらせる試み「サーキュラーぺイブ(Circular Pave)プロジェクト」の第一弾として作り上げたもの。
「2030年問題」解決に向けた大きな一歩
「2030年問題」解決に向けた大きな一歩
天然砂の代わりにカバーガラスを使用することで、有機的なテクスチャーとグラデーションの組み合わせに天然のクォーツ(石英)のような表情をつくる。素材の特性を活かしつつ、美しい仕上がりにこだわったコンクリートが完成した。
ユニソンは、愛知県蒲郡市が進める“サーキュラーシティ蒲郡”の活動に共感し、循環型のものづくりを極めようと研究開発を進めている。今回開発されたコンクリートブロックは、蒲郡市内でリサイクルされたガラス素材を使ってつくり、同市内の空き家をリノベーションした宿泊施設に設置する予定だという。
2024年9月、日本政府は太陽光パネルのリサイクルを義務化する方針を固め、有識者を集め法整備を検討している。それに合わせて今後は、各企業などで、太陽光パネルのリサイクルの研究が活発になっていくはずだ。今回開発されたコンクリートブロックをはじめ、廃太陽光パネルを他の素材やプロダクトに活用できれば、2030年問題の解決に光明が差すことになる。
writer
Equally beautiful編集部
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