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身近な商品でフードロスを軽減。サステナブルなアルコール飲料が続々登場

身近な商品でフードロスを軽減。サステナブルなアルコール飲料が続々登場

身近な商品でフードロスを軽減。サステナブルなアルコール飲料が続々登場

フードロスの解決には、食品を買う側、売る側、作る側がそれぞれ連携することが大切だ。最近、飲料メーカーから規格外のフルーツを使ったアルコール飲料が続々登場している。果物の廃棄を阻止できるだけでなく、果物農家の収入にもつながる、これからのサステナブルの形のひとつだ。

ワケありフルーツをお酒に活用
食料自給率が低いにも関わらず、日本のフードロスの量は決して少なくない。総務省の統計によると、フードロスの総量は令和3年度が年間522万トン、令和4年度が年間約472万トン。減少傾向にあるものの、まだまだ多くの食品が廃棄されている状況だ。
この問題を解決していくためには、フードロスへの意識を高めていく他ない。そのための取り組みの一つとして、農林水産省は10月を「食品(フード)ロス削減月間」と定め、消費者庁や環境省と連携し、フードロスを削減に向けた取り組みを普及・啓発している
フードロスと聞いてまず思い浮かぶのは家庭での食べ残しや、消費期限が切れたコンビニやスーパーの食品の廃棄。普段生活していると目に付くのは、後者の事業者の廃棄量かもしれない。だが、家庭と事業者のフードロスの割合は、ほぼ5:5。フードロスをなくすためには、家庭、レストラン、食品メーカー事業者などが一体となって取り組まなければならないのだ。
今回紹介するのは、食品メーカーの取り組み。事業者アルコール飲料を生産するキリンホールディングスとサンクトガーレンはそれぞれ、味はおいしいものの傷みがあり出荷することができない規格外となったフルーツを使ったアルコール飲料を販売している。
ぽんかんのアップサイクル:氷結®mottainaiプロジェクト第二弾
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キリンホールディングスは、チューハイブランド「キリン 氷結®」シリーズにおいて、「氷結®mottainaiプロジェクト」に沿った製品をラインナップしている。5月7日に発売したプロジェクト第1弾商品「キリン 氷結®mottainai 浜なし(期間限定)」においては、「浜なし」約34,000個分の果実のフードロス削減を実現した。
本プロジェクトでは、規格外のフルーツを「モッタイナイ果実」と位置づけ商品に使うことでフードロス削減を目指している。第2弾として登場した「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」は、「高知県産ぽんかん」の「モッタイナイ果実」を使用した「氷結®」シリーズ初のぽんかんフレーバーだ。
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「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」には収穫前に温かい雨が降ることで、果実の表面が陥没・褐変してしまう柑橘特有の症状や、傷、大きさ等を理由に、おいしいのに青果として販売できず廃棄予定だった「高知県産ぽんかん」が使用されている。世界的な気候変動の影響もあり、従来では考えられないダメージを負う果実農家も多いという。
キリンはプロジェクトを通じて、フードロスの削減とともに、規格外の果実を農家から仕入れることで農家への支援も合わせたサステナブルな取り組みを行っている。
リンゴのアップサイクル:サンクトガーレン アップルシナモンエール
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サンクトガーレンは、傷ついてしまったリンゴを使い、ビール「アップルシナモンエール」を作っている。使用しているリンゴは長野県伊那市で収穫されたもの。風に揺られ枝と擦れて傷や割れができたり、色や形(サイズ)にバラつきがあるもの、台風の被害にあった果実も使用している。このようなリンゴは、収穫量の1/3に上る年もあるという。
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「アップルシナモンエール」の魅力は、アップルパイのような香ばしさ。リンゴ500個を神奈川県厚木市内にある製パン店のオーブンを1日使い焼きリンゴにする。ベースとなるビールは、軽く焦がした麦芽(モルト) “カラメルモルト”を使用した琥珀色が特徴のものだ。このモルトは食べるとカラメルソースのような甘く香ばしい味がし、ビールにも同様の風味をもたらす。それらの風味が絶妙に絡み合い、まるでアップルパイのような唯一無二のアップルビールが出来上がる。
1シーズンで2500~3000個のリンゴを使う見込みで9月はつがる、 10月はジョナゴールド・紅玉・シナノスイート 、11月はふじ、と季節の移ろいとともに旬の品種を使ってビールを仕込んでいる。
サンクトガーレンでは、リンゴのほかにイチジクなどを使ったフルーツビールをラインナップしている。香料などに頼らず果物本来の香りや味わいを引き出すため、果物はたっぷり贅沢に使用するため、仕入れ値が安い規格外フルーツでなければ採算が合わないという。農家にとっては売り物にならない果物が売れる、サンクトガーレンにとっては安く果物を譲ってもらえるというwin-winの関係を構築している。
上記の2つの例は、どちらも規格外のフルーツの廃棄を阻止しつつ、果物農家の収入にもつながるという食品を作る側のサステナビリティをも実現している。
フードロスの理解は少しずつ広がってきているが、国内におけるサステナブルな商品の購入経験がある人は、”身近でない“ことを理由に、まだまだ少数だ。今回のアルコール飲料のように身近なアイテムから、サステナブルな消費を初めてみてはいかがだろうか。
writer
Equally beautiful編集部
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