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小さなゴミがもたらす大きな問題。使用済みコンタクトレンズの行方

小さなゴミがもたらす大きな問題。使用済みコンタクトレンズの行方

小さなゴミがもたらす大きな問題。使用済みコンタクトレンズの行方

使用済みコンタクトレンズは、ほかのプラスチックゴミに比べてリサイクルされずに洗面台やトイレに流されやすい。その問題を解決すべくメーカーや販売店は分別や廃棄方法について周知を続けている。日本アルコンはコンタクトレンズに使用するプラスチックのオフセットプログラムをスタートし、新たなアプローチでプラスチックゴミ問題に取り組む。

コンタクトに使用するプラスチック分のクレジットを購入。実質プラスチック使用量をゼロに
ペットボトルや袋、食品容器など多くの用途に使われ、我々の生活にかかせないものとなっているプラスチック。弊誌でもブラスチックのゴミ問題、また環境負荷の少ない原料で作られるプラスチック素材についてお伝えしてきた。
小さなゴミがもたらす大きな問題。使用済みコンタクトレンズの行方
そのなかで見落とされがちなプラスチックごみが、使用済みコンタクトレンズだ。一般社団法人  日本コンタクトレンズ協会が2019年に行った消費者実態調査によると、回答者の約20パーセントがゴミ箱以外に使用済みコンタクトレンズを廃棄しているという。
トイレや洗面所から下水に流れ出たコンタクトレンズは、下水処理場へたどり着くが分解されず、細かいマイクロプラスチックとなって河川や海に流れ込む。ペットボトルなど他のプラスチック製品と比べてサイズが小さいコンタクトレンズは、消費者のリサイクルや分別への意識が低いことが、この結果から読み取ることができる。
サステナブルな社会の実現に向けて世界が動くなか、この現状を改善すべく、コンタクトレンズメーカーや販売会社を筆頭に正しい捨て方の周知や、リサイクルの取り組みが行われている。
コンタクトレンズメーカーである日本アルコンは、「地球と人々のために、より良く、明るく、持続可能な未来の構築に貢献する」というコミットメントの一環として、世界の海と水路の浄化を使命とする社会的企業であるプラスチックバンクとのパートナーシップに基づき、プラスチック排出量実質ゼロを目指すプロジェクトを開始した。
米国以外で販売される「デイリーズ トータル ワン®」、「デイリーズ トータル ワン® マルチフォーカル」、「トータル 14®」、「トータル 14® 乱視用」、「プレシジョン ワン®」、「プレシジョン ワン® 乱視用」のブリスターおよびレンズに使われているプラスチック1トンにつき、プラスチックゴミの影響を受けやすい沿岸地域から海洋に流出するプラスチックゴミ1トンを除去する共同オフセットプログラムに取り組む。
小さなゴミがもたらす大きな問題。使用済みコンタクトレンズの行方
水路に到達または流入する可能性のあるプラスチック1トンを回収し、デジタルクーポン(クレジット)に変換する。日本アルコンは、上記の製品群に使われているプラスチックと同じ重量に相当するクレジットをプラスチックバンクから購入することで、プラスチック排出量を実質ゼロにするのだ。
日本アルコン 代表取締役社長ステファン・アイゲンマンは今回の取り組みについて、「アルコンでは、顧客や患者様、地域社会の人々の生活がより良く、より明るくなるような持続可能な未来を創造していきたいと考えています。アルコンでは、コンタクトレンズの包装にリサイクル可能なプラスチックや段ボールを使用しています。プラスチックバンクとのパートナーシップにより実現する本プログラムを通じて、日本のコンタクトレンズユーザーの視力に貢献しながら、プラスチックによる影響を軽減できることを喜ばしく思います。」とコメントした。
プラスチックバンクでは、回収された素材を再加工し、各地の製造業のサプライチェーンに再導入している。プラスチックの回収に参加する人々は、回収したプラスチックに対して対価を受け取り、食料品、調理用燃料、学費、健康保険など基本的な生活必需品を賄うのに役立てている。
沿岸地域に住む人々の生活向上や環境保護といったさまざまな観点から取り組みを行っているプラスチックバンク。アルコンのクレジットを購入するという行為が、巡り巡ってあらゆる人々に役立っている。サステナブルな社会の実現には、自身の利益の追求ではなく、できる限りウィン-ウィンの関係を構築すること、誰かのために行動することが不可欠なのだ。
日本アルコン
https://www.alcon.co.jp/