持続可能な航空燃料「SAF」を活用するスキームが構築
ジェット機をはじめとする航空機に使われている航空燃料は、原油を精製して作られている。ガソリンを使用する自動車と同じく、燃焼によって二酸化炭素が排出されるため大気中の二酸化炭素は増えることになる。
そこで新たな選択肢として、循環型の原料で製造された航空燃料「SAF」(Sustainable Aviation Fuel ※持続可能な航空燃料)の利用促進が始まっている。
従来の航空燃料との最大の違いが、SAFの原料だ。SAFは植物由来のものや、飲食店の廃食油などに含まれる炭素から製造される。SAFを使用した際にもCO2は当然排出されるが、原料の一部である植物の光合成に活用されるため、炭素の循環が可能に。廃食油については国内の廃棄物回収で賄えるため、通常の航空燃料のように国外から調達する必要がない。
環境負荷の低減という視点ではこれ以上ない、未来の航空燃料に思える。一方でつきまとうのが、製造コストの高さだ。しかし、循環型社会の実現を目指すべく、日本でもSAF利用の試みが始まっている。
伊藤忠商事、ENEOS、NIPPON EXPRESSホールディングス、日本航空、みずほ銀行、みずほリサーチ&テクノロジーズ、成田国際空港ら企業7社が協力し、SAFの利用によって生じる間接的なCO₂排出量の削減効果=「Scope3環境価値」を取引する新たなスキームを構築するプロジェクトがスタートした。
「Scope3環境価値」とは、SAFの利用に伴う二酸化炭素のことだ。航空会社がSAFを利用すると、航空機から直接排出されるCO₂(Scope1)が削減される。それと同時に、航空貨物輸送や社員の出張等により排出される間接的なCO₂(Scope3)の削減効果が発生。これを「Scope3環境価値」と呼びSAFによる航空輸送を利用した企業は自社のScope3排出量を削減できる。
燃料供給事業者、航空会社、フォワーダー、空港会社が一堂に会してScope3環境価値の取引を活性化させるのは世界で初めて。本プロジェクトのスキームを通じて環境価値が活発に取引されることにより、航空輸送のバリューチェーン全体でSAFに関連するコストをシェアできる。
現在このスキームは試験的取引の段階だ。しかし、今後は参画企業を拡大した本格的な実証実験を経て、構築したスキームの社会実装を目指している。航空輸送に関わる多くの企業がスキームを活用することで、日本全体でSAFを普及させる機会を生み出すことが目標だ。
多くのエネルギー原料を輸入に頼る日本。廃食油など、日本国内で入手したエネルギー源を活用することで、エネルギー自給率の向上が期待できると共に、海外からの原油輸入の際に排出される二酸化炭素量の削減にもつながりそうだ。深刻なコロナ禍を乗り越え、再びヒトやモノが航空機の力で行き来できる今、そしてこれからの循環型社会の実現にはSAFの活用は必須といえるだろう。
成田国際空港株式会社
http://www.naa.jp/jp/
伊藤忠商事株式会社
https://www.itochu.co.jp/ja/
ENEOS株式会社
https://www.eneos.co.jp/
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/
日本航空株式会社
https://www.jal.com/ja/
株式会社みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/index.html
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
https://www.mizuho-rt.co.jp/index.html
http://www.naa.jp/jp/
伊藤忠商事株式会社
https://www.itochu.co.jp/ja/
ENEOS株式会社
https://www.eneos.co.jp/
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/
日本航空株式会社
https://www.jal.com/ja/
株式会社みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/index.html
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
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