ユニ・チャーム独自のリサイクルプロセスを構築
日本では1980年代半ばに爆発的に普及した紙おむつ。それまで主流だった布おむつの使用率は現在1%ほど。経済的な負担はさておき、手間と時間を圧倒的に短縮する紙おむつが、時間効率を重視する現代社会とうまくマッチしたのだ。
そうして拡大していった紙おむつ市場だが、乳幼児用だけではなく大人用の商品も発売されている。背景にあるのは日本の高齢化だ。2018年には生産された紙おむつは、約235億枚。2010年と比較すると乳幼児用は2010年の1.7倍増、大人用では1.5倍増の割合となる。それに伴い、一般廃棄物排出量に占める紙おむつの割合も増加。2015年では、4.7~5.1%とされているが、2030年度には、7.1~7.9%に達すると推計されている。
使用済み紙おむつは、使用前と比べるとし尿を吸収し、重量は4倍となり、回収・焼却するコストも大きい。
紙おむつの素材は、上質パルプ、樹脂、高分子吸収材。現在は主に焼却処理されているが、リサイクルによりパルプ等の有効利用が可能だ。とはいえ、一筋縄でリサイクルは出来ない。紙おむつは排泄物を吸収するため、衛生面を含む適正処理の確保や、独自のリサイクル技術が必要なのだ。
そのような状況の中、ユニ・チャームは、2015年より使用済み紙おむつを再資源化するプロジェクトをスタート。
オゾン処理を経由するユニ・チャーム独自のリサイクルシステムによって、パルプを殺菌し、パルプ中に含まれている 高分子給水材(SAP)を分解。処理後のパルプからは排泄物に含まれる大腸菌等は検出されず、ヒト由来の汚れ指標であるタンパク質濃度も測定下限以下となっている。
オゾン処理を経由するユニ・チャーム独自のリサイクルシステムによって、パルプを殺菌し、パルプ中に含まれている 高分子給水材(SAP)を分解。処理後のパルプからは排泄物に含まれる大腸菌等は検出されず、ヒト由来の汚れ指標であるタンパク質濃度も測定下限以下となっている。
さらに、オゾンは脱臭効果もあり、不快な臭いを消し去る。このような効果により、衛生的で高品質な再生パルプの生産が実現した。
使い捨ての紙おむつが、もう一度紙おむつに生まれ変わる。世界にも類を見ない“紙おむつの水平リサイクル”プロジェクトは、紙おむつを使い捨てない社会の実現を目指して「RefF」(Recyle for the Future)と名付けられた。
2023年にはリサイクルしたパルプを原材料の一部に使用した介護用紙パンツを生産し、一部の病院や介護施設で利用されている。ベビーケア用品はもちろんのこと、その他にも、「ウェルネスケア商品」「ペットケア商品」へのRefFパルプの導入がスタートした。「RefF」のアイテムにはすべて、一目でわかる「RefF」マークがつく。消費者がマークのついた商品を選択することで、新しいリサイクルプロセスへ参加し、紙おむつを使い捨てない未来を作っていける仕組みになっているのだ。紙おむつを手に取る時、“捨てない紙おむつ”を選択肢の一つにしてみてはいかがだろうか。