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廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ

廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ

廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ

研究開発が進む水素エネルギー。レゾナックは、廃プラスチックから水素を作り、高度循環型社会を目指している。

生産時のCO2排出量を最小限に抑えた「低炭素水素」に注目
日本では世界に先駆けて「水素社会」を実現するべく、国や企業がさまざまな実証実験を進めている。水素の大きなメリットは、石炭、石油などの化石燃料のように燃焼する際に二酸化炭素を排出しない点にある。循環型社会、カーボンニュートラル社会の実現に、大きなポイントになるエネルギー源だ。
直接燃料として使うことも燃料電池としても利用できることから、自動車や船舶、発電機など水素をエネルギーとしたプロダクトの開発も進められている。
しかし、製造コストの高さ、安定した確保の難しさなどから研究開発の余地のある分野だ。
なかでも注目したいのは、低炭素水素。これは、生産過程の二酸化炭素排出量を最小限に抑えた水素のこと。化学メーカーのレゾナックは、家庭から出るごみや海洋プラスチックごみの廃プラスチックを原料とした低炭素水素を生産している。
廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ
2015年にスタートした環境省の「地域連携・低炭素水素技術実証事業」での取り組みとして、2018年より東急REIホテルへの低炭素水素の供給を始め、2022年3月には実証事業を終了させていた。2023年よりレゾナックは自社で生産した低炭素水素を、改めて川崎キングスカイフロント東急REIホテルへ供給を改めて開始した。
東急REIホテルは燃料電池設備を新たなものに入れ替え、再度レゾナックから水素の供給を受けるかたちとなった。同ホテルで使用するエネルギーの約20パーセント程度に該当する水素をパイプラインで供給するという。
川崎港の海洋プラスチックごみを水素に
この低炭素水素の生産の一部は、レゾナック川崎事業所の「プラスチックケミカルリサイクル事業」(「川崎プラスチックリサイクル(KPR)事業」の一環として川崎市と協力して行われている。
川崎市は、清掃船を使い川崎港内を巡回して流木やごみなどを回収し、集められたごみを陸揚げ・分別して処理。そこから海洋プラスチックごみを選別し、水素・アンモニアなどの化学品原料や炭酸ガスにリサイクルする実証実験だ。
廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ
この取り組みでは、分別されたプラスチックをレゾナックが回収し、破砕・成形工程を経て、KPRプラントで、高温でガス化して分子レベルまで分解し水素と炭酸ガスにリサイクルする。
海洋プラスチックごみの多くは、紫外線や風雨による損傷や汚れ、海水影響による塩分濃度などの性状の安定性といった点から、リサイクルされずに焼却されていた。レゾナックと川崎市は、リサイクルの難しい海洋プラスチックごみを資源化すべく協力している。
廃プラスチックから水素を作る。これからのエネルギーのカタチ
川崎市は、2022年4月に「かわさきプラスチック循環プロジェクト(愛称:かわプラ)」を設立し、プラスチック資源循環に向けて取り組んでいる。市民、事業者、行政が実施しているさまざまなプラスチック資源循環や拠点回収などの取り組みを、連携して推進するために立ち上がったプロジェクトだ。
本プロジェクトは2024年2月現在、14事業社が参画。レゾナックは、川崎市のプラスチック資源循環の取り組みに賛同した「かわプラ」参画事業社として、海洋プラスチック問題の解決をKPRの技術で推進している。
writer
Equally beautiful編集部
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