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廃石膏ボードの水平リサイクル共同実証実験がスタート

廃石膏ボードの水平リサイクル共同実証実験がスタート

廃石膏ボードの水平リサイクル共同実証実験がスタート

株式会社船場は、資源循環型都市の実現に向け、森ビル株式会社、チヨダウーテ株式会社及び、株式会社トクヤマ・チヨダジプサムと協業し、建築物の壁や天井の内装材などで使用される石膏ボードの100%水平リサイクル “ボード toボード“の共同実証実験を麻布台ヒルズで実施する。

企業連携による石膏ボードの資源循環モデルを構築へ
建物の内装に欠かせない石膏ボードだが、その廃棄量は日本全国で2032年に200万トン、2047年には300トンを超えると推定されている。しかし、石膏ボードはリサイクル率が低く、最終処分場のひっ迫も懸念(※1)されている。
廃石膏は産業廃棄物に区分される。そのため一般ごみとして扱ってはいけない。「産業廃棄物処分業許可」を取得している業者、または自分自身でマニフェスト(※2)を発行の上、最終処分場までもっていく必要がある。加えて、別の素材がついていたり、水に濡れていると処分費用が高額になり、リサイクルへのハードルが高くなる。その結果不法投棄される可能性もあるのだ。
また石膏ボードを生産するための石膏原料は、年間約200万トン以上もの天然石膏を海外からの輸入に依存しているのが現状だ。
これらのことから、安定供給に対する懸念及び天然資源の保全の観点から、天然石膏に依存しない、廃石膏ボードの再利用化が求められている。
廃石膏ボードの水平リサイクルを実現するためには、資源循環を前提とした解体撤去や現場分別、再資源化リサイクル施設との連携・運搬など、複数の条件を満たすことが必要だ。そこで施工事業者(森ビル)、内装業者(船場)、建築資材メーカー(チヨダウーテ)、廃石膏ボードリサイクル会社(トクヤマ・チヨダジプサム)の4社が協業し、シームレスな連携を実現するための資源循環するプロセスを構築する運びとなった。
森ビルの施設開発で発生する廃石膏ボードを、トクヤマ・チヨダジプサムの世界初の技術により100%再生利用して、新たな石膏ボード(サーキュラー石膏ボード)を製造し、再び森ビルの開発施設で再利用する、というプロセスである。
廃石膏ボードの水平リサイクル共同実証実験がスタート
森ビルは、サーキュラー石膏ボードの再利用や、水平リサイクル・資源循環の促進、廃石膏ボードの排出量集計・記録と情報管理などを行ない、船場は、森ビルが管理運営する施設におけるサーキュラー石膏ボードの調達、水平リサイクル・資源循環を前提とした新築施工及び解体撤去の現場施工・管理、リサイクル実現に向けた現場でのマテリアル分別を行う。
廃石膏ボードの水平リサイクル共同実証実験がスタート
今後、検証結果をもとに各企業間のパートナーシップにより、廃石膏ボードの水平リサイクルを前提した資源循環型サプライチェーンを構築し、資源循環型都市の実現に向け、取り組みを推進していくという。
大規模な商業施設をはじめ、幅広く建築に使用されている石膏ボード。いまでこそ森ビル主導による大規模建築に限定した取り組みだが、この循環モデルがわれわれの住む一般住宅にも採用されるのは想像に難しくない。そうなれば廃棄量は推定値を大きく下回るはずだ。
(※1)出典:石膏ボードハンドブック環境編 |一般社団法人 石膏ボード工業会
(※2)産業廃棄物管理票(マニフェスト)」とは、廃棄物が適正に処理されているか確認するために用いる書類
writer
Equally beautiful編集部
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