ゴミが小物や建材に生まれ変わる
ゴミ、フードロスなどあらゆる問題に直面している昨今。株式会社fabulaは、ゴミを新素材に作り直すことでその問題解決を図っている。
農家が愛情込めて作ったが形の悪さで出荷されずに処分されてしまう野菜、だれかの体を温めたコーヒーかす。Fabulaは「どんなゴミにもストーリーがある。」ことを念頭に、その次の役目を与えるのだ。
新素材の原料となるのはコーヒーかす、抽出後の茶葉、みかんなど柑橘類の皮、規格外の野菜、コンビニ弁当など、我々の生活になじみ深いものばかり。fabulaはそれらのゴミから新素材を作り出す。
廃棄物を乾燥させ、粉末状にし、その粉末を⾦型に⼊れて熱圧縮する。成形物の表情は多彩で、素材の乾燥⽅法や粉末の粒度、成型時の温度によって、無数の⾊やテクスチャー、⾹りなど、素材によってさまざまな特徴を持っている。また、複数の材料を混ぜ合わせたり、作った素材を再成型して作り直すことも可能だ。
たとえば規格外の白菜によって作られた素材は、コンクリートの約4倍の曲げ強度を誇る。厚さ5mmで30kgもの荷重に耐えることができ、将来的に建材への使用も考えているという。原材料によって強度は異なるが、それぞれの材料を組み合わせて補強するなど、あらゆる可能性を秘めた素材に仕上がっている。
また食品加工物は、焼却の際のCO2排出や灰の埋め立てなどの環境への悪影響が懸念される。肥料・飼料として使う場合にもコストがかかり、経済的なリターンが少ないのが現状だ。新素材として再利用することで環境へ配慮しつつ、実用性も併せ持つ。
使用されるゴミは100%天然素材のため、できあがった素材は一つとして同じものはない。小物、家具の製作に使用すれば独特の風合いをもつ1点ものが自然と出来上がる。プロダクトの所有欲も満たしてくれそうだ。
将来的にfabulaは自社のプロダクトを「食べる」ことも視野に入れて研究を進めている。料理だけでなく使用した食器も食べることで、ゴミの量を削減できるだろう。食糧難の解決にもつながるかもしれない。今後のfabulaの研究と展開に注目だ。