1年で4%もの懸念率の上昇。消費者の間で最も急速に意識が高まる環境問題「水不足」
「サステナビリティの世界的展望:消費者調査を基にしたグローバルレポート」は、世界16 か国の消費者の「環境および社会の優先事項」、「購買行動」、「エンゲージメント」、「サステナビリティに関する理解の度合い」を計測しまとめたもので、企業が取り組むべきサステナビリティ、またそれがもたらす収益などについて解説している。
本レポートによると、消費者の間で最も急速に懸念が拡大している環境問題は、「水不足」であることが明らかになった。「水不足」を環境問題のトップ3に挙げる世界の消費者の数は、2022年の31%から2023年には35%に上昇し、他の環境問題よりも懸念が急速に高まっていることがわかる。
「水不足」へ注目が集まった結果、上位に入っていた「プラスチック汚染」に対する懸念は、2021年の36%から2023年には32%に低下。アジア太平洋地域では、中国、韓国、インドネシアが水不足への懸念を最も強く表明している。一方、「干ばつや不作による食糧不足」への懸念は、日本とオーストラリアが最も大きく、それぞれ28%と世界平均よりも高い水準にある。
このように世界的に「水不足」への懸念が高まっているが、それでも依然として注視される環境問題のトップは「気候変動」だ。懸念される環境問題とを「気候変動」とした消費者の割合について、インドでは2021年の31%から2023年には44%に上昇。この地域で最も高い伸び率を示した。
本レポートの著者であるリチャード・コープ(ミンテルコンサルティングのシニアトレンドコンサルタント)は、次のように述べている。
「消費者が環境問題の上位3位までに、『水不足』を挙げるようになったのは、水ストレスが世界中で現実のものとなっていることを示しています。グローバルにみて、『水不足』が消費者の環境問題における優先順位の5位から3位に上昇したことは、気候変動に関する情報が増えているという事実ではなく、気候変動の影響を人々が直接受けていることの表れです 」
幅広い消費者調査から人々が何を望んでいるのか、そしてどのように人々のエンゲージメントを向上できるのかを明らかにしている本レポート。サステナブルな目線から、企業と消費者を繋ぐ大事な役割になることは間違いないだろう。
注
*アジア太平洋地域(APAC)では、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、タイを含む。
*アジア太平洋地域(APAC)では、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、タイを含む。