年間約7トンの石油系プラスチック削減へ
バイオPPの食品包装フィルム用途への展開は日本初の試み(※2)
ファミリーマートは、持続可能な社会の実現に貢献するため、2020年2月に「ファミマecoビジョン2050」を策定し、「温室効果ガス(CO2排出量)の削減」、「プラスチック対策」、「食品ロスの削減」の3つのテーマに基づき数値目標を設定している。
例えば、プラスチック対策として、店頭で無料配布していたフォークや先割れスプーンの配布を休止し、カトラリー集約化の方針を決定。それに先立ち、2022年3月10日から、東京都内10店舗で実証実験を実施。実施店舗では箸などの代替品への移行や、竹製のカトラリーセットを販売するなど、マイカトラリーの利用促進に取り組んだ。
この度、バイオPPを使用したフィルムに変更されるのは、「味付海苔 たまごかけごはん風」121円(税込130円)など、手巻おむすびの包材の一部。東北、関東、中部、北陸地域の店舗より順次導入していく。手巻おむすび全商品の包材フィルムをバイオ素材への配合に変更することで、年間約7トンの石油系プラスチックの削減が見込まれる。
昨今、世界的に気候変動への意識が高まり、対策が急がれるなか、プラスチックの優位性を保ちながら環境配慮を推し進めることが可能なバイオマスプラスチックへの切り替えが求められている。日本でも2030年までに約200万トンのバイオマスプラスチック製品を導入する基本計画が策定された。
プラスチックの主原料のひとつであるポリプロピレンは、強度や耐熱性に強いことが特徴で、食品容器、食品包装フィルム、日用品、自動車用部品など幅広い用途で活用されるが、これまでバイオマス原料化の難易度が高く、工業化が難しいとされてきた。
今回採用されたバイオPPは、第二世代と言われる農作や食品業界における廃棄物や残留物、また廃食用油など再生可能な原料を利用しており、マスバランスアプローチ(※3)を採用している。
ファミリーマートは、これからもプラスチックの削減および、バイオPPを使用したフィルムを他の商品にも展開するなど、環境配慮型素材の使用促進を進めていくとし、2050年度めどに、オリジナル商品の容器包装における環境配慮型素材使用率を100%とすることを宣言。
一方、伊藤忠プラスチックスは、これまでもファミリーマート向けに、フルラップからサイドシュリンク包装の導入や、原材料フィルムの薄肉化、再生PETを原料とした容器の取扱い拡大の検討等をおこない、石油由来プラスチックの使用量の軽減に取り組んできた。
このように、コンビニエスストアと一体となって食品包材の企画・開発を行い、その物流体制を構築する取組は、利用者が多いだけに大きな効果が期待でき、世間一般に向けて身近な問題としてアプローチできる。持続可能な社会の実現へ、今後の両社の取り組みが楽しみである。
(※1)原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するポリプロピレンの略称
(※2)伊藤忠プラスチックス調べ
(※3)マスバランスアプローチとは「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。」(環境省、バイオプラスチック導入ロードマップ)
(※2)伊藤忠プラスチックス調べ
(※3)マスバランスアプローチとは「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。」(環境省、バイオプラスチック導入ロードマップ)