国内ブランド初の「サステナブルファッション」の見える化
全アイテムのカーボンフットプリントを店頭の製品タグと商品ページに開示
世界第2位の環境汚染産業と言われるアパレル業界。大量生産・大量廃棄のシステムを変えるサステナブルシフトが重要課題とされる中、事業者と消費者の間で共有したいのが、CO2排出量を「見える化」した、カーボンフットプリントである。
カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から生産、流通、使用・維持管理、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算。商品やサービスにわかりやすく表示する仕組みのこと。
木の実由来の「カポック」でサステナブルな新素材を開発し、たった5mmの薄さで羽毛ダウンの暖かさを実現した、ファッションブランド、「KAPOK KNOT（カポックノット）」は、この度、自社製品の製造過程から廃棄に至るまでのカーボンフットプリントを算出。
今回の計算は、サンフランシスコ発のサステナブルなライフスタイルブランド 「Allbirds（オールバーズ）」が2021年4月に発表した「ライフサイクルアセスメント（LCA）ツール」を参考に行われた。
そして、2022年2月10日(木)には、日本橋のショールーム「Farm to Fashion Base」にてメディア向けの結果発表イベント及び、Allbirds日本法人 代表の竹鼻圭一氏とのトークイベントを実施し、同日より、全アイテムのカーボンフットプリントを店頭の製品タグと商品ページに開示するという。
KAPOK KNOT の名前にある「カポック」とは、東南アジアに自生する植物で、その実のワタはコットンの1/8の軽さ、吸湿発熱という高い機能性を備えているが、繊維の軽さと短さ故に糸への加工が難しく、多くの企業が衣類への商品化を諦めてきた素材だった。KAPOK JAPAN は国内大手繊維メーカーとの研究開発の末、カポックのシート化に成功。カポックを用いた衣類をつくるブランド、KAPOK KNOTを設立した。
カポックのワタ自体は植物のためカーボンネガティブだが、製品に使われている衣服用に開発したシートはカポックとリサイクルポリエステルを混合しているため、CO2を排出している。今回の算出で、KAPOK KNOTのアウターが平均よりも低い値であることがわかったが、現在、このシートの生分解性100%化を目指して開発を行っており、年内の商品化を見込んでいるとのこと。
日本を代表するサステナブルなブランドを志すKAPOK KNOTは、自社のカーボンフットプリントを計算し、発表することは消費者の信頼を得るために不可欠とし、こうした発信で、日本ではまだあまり話題になっていないカーボンフットプリントへの関心を高まることを願っているという。
世界各国では脱炭素化が加速し、すでに本格的な炭素税の導入が進んでいる。一方、日本での課税はまだ安くて課税対象も限られているためにそれほど意識されていないが、今後は国内でも、生活者への影響が増えることだろう。
地球環境のためにも自分のためにも、カーボンフットプリントは知っておくべき選択基準となるはずである。「見える化」された情報を用いて、事業者と消費者が「気づき」を共有し、より低炭素生活へと自らを変革していくことこそが、気候変動を止めることにつながっていくに違いない。
