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明治グループのSDGsへの取り組みは、未来を見据えた一人一人の「自分ゴト化」がキーワード。

明治グループのSDGsへの取り組みは、未来を見据えた一人一人の「自分ゴト化」がキーワード。

明治グループのSDGsへの取り組みは、未来を見据えた一人一人の「自分ゴト化」がキーワード。

明治グループは「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」を掲げ、食品と健康のプロフェッショナルとしてSDGsへの取り組みを強化しています。食品と健康という、人間に不可欠な分野のアプローチについて、明治ホールディングス株式会社の山下舞子さんに伺いました。

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明治ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 企画G 山下舞子G長

EQUALLY BEAUTIFUL(以下「EB」と略) 本日は明治グループのSDGsへの取り組みについて伺いたいと思っていますが、まず、目に飛び込んできたのが山下さんのバーチャル背景になっている絵の数々です。その絵はどなたが描かれたのですか?
山下舞子さん(以下「山下」と略) これはガーナ共和国の子どもたちがアートクラスで描いてくれた絵です。「明治グループサスティナビリティ2026ビジョン」では「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」の三本の柱とそこに共通する「持続可能な調達活動」を掲げています。後ろの絵はそんな活動の一環である、「メイジ・カカオ・サポート」から生まれたものです。「メイジ・カカオ・サポート」とは人権と環境に配慮した原産国支援のことで、カカオの原産国9カ国に明治の社員が直接現地に足を運び、そこで農家さん一人一人に合った支援をしています。技術面や生活面でのサポートをすることで、持続可能なカカオ豆生産の実現を目指すものです。
EB  アートクラスの絵は生活面でのサポートの一環ということなのですね。
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山下 技術支援を行うとともに、生産活動を行う農家の方々の生活面での安定も必要だと私たちは考えています。そのために、生活や文化面での支援も行っています。アートクラスだけでなく、学校備品の寄贈や、綺麗で安全な水の確保のために井戸を掘ったりということもしています。こうした活動が、チョコレートを作る人たちの心の豊かさと生活の安定に繋がっていくことを願っています。
EB  地域の生活基盤をサポートすることが、結果として技術支援に繋がっていく。このような視点は原産国に真摯に向き合う姿勢があるからこそ生まれたものだと思います。先ほど伺った「明治グループサスティナビリティ2026ビジョン」のテーマについて、もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか?
山下 株式会社明治は1916年に創業(前身である東京菓子)し、2016年に100周年を迎えました。創業時のスローガンは「質実剛健」「至誠奉仕」「栄養報国」でした。栄養で国に社会に貢献したいという願いは、創業時から受け継がれる精神です。「明治グループサスティナビリティ2026ビジョン」は、時代に則して刷新された、新たなビジョンになります。「こころとからだの健康に貢献」では、健康な食生活への貢献、超高齢化社会への対応を目指していきます「環境との調和」ではCO₂の削減、、水資源の確保、プラスチック問題への対応などを盛り込んでいます。「豊かな社会づくり」は人権の尊重という非常に重要な課題です。この三つの柱それぞれに、「持続可能な調達活動」が紐づいてきます。こちらは、人権・環境に配慮した原材料の持続可能な調達活動を指します。
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EB  社会貢献と会社運営は共存できるものなのでしょうか?
山下 事業活動を通じて社会課題の解決に貢献する。そんな明治らしい社会課題の解決を実現することが大切だと考えています。
EB  ありがとうございます。先ほど「メイジ・カカオ・サポート」についてお聞かせいただきましたが、他の取り組みについてはいかがでしょうか?
山下 ここ最近では環境問題への対策が明治の中でも進んでいます。気候変動やカーボンニュートラルへの取り組み、水使用量の削減、プラスチック問題の解決を長期的なビジョンとして立てています。
EB  プラスチック問題にどのようにアプローチされているのでしょうか? 様々な商品と切っても切れない関係にあるかと思います。
山下 プラスチックの少量化、削減は大切ですが、食品という分野で考えていくと衛生面、品質管理まで含まれる難しい課題です。また、新しい技術開発にはコストがかかる一方で、企業としては利益を出さなければなりません。ですが、事業性と社会貢献のバランスを考えた時、「できない」では終われません。「取り組む」という意識をまず持つこと。そして、どうやったら「できる」のかを考え抜くこと。バイオマスプラスチックやリサイクルプラスチックへの変換も、こうした活動のひとつだと思っています。
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EB  コストと利益を天秤にかけながら、社会貢献を目指すというわけですね。
山下 5〜10年後を見据えた、環境への投資という側面もあります。今後価値観が変化していった時、商品の選択基準が変わってくるかもしれません。環境に配慮した商品が進んで選ばれるようになる可能性もあるわけです。今現在のコストだけを見るのではなく、これからの価値観の変遷も考慮していくことが、結果として企業としてのメリットに繋がっていくものと考えています。
EB 今はコストのように思えても、将来的には利益になる。
山下 そうなります。サステナビリティはコストがかかるという論理ではなく、サステナビリティが価値になる仕組みづくりが大切になっていくのではないでしょうか。
EB  そうなっていくと素敵ですよね。一方で、最近気になっていることがあります。サスティナブルな意識を持って行動する人と意識もせず行動をしない人とに2分され、それが社会の分断を招いているのではないか、と。極端な話、行動している人が行動していない人を「なんでやらないの!」と責めるという図式さえありえます。この意識の差をどう考えていますか?
山下 明確な答えはないと思います。ただ、いろいろな人たちが身近なものに感じてもらえるように、どう翻訳していくかが課題です。課題解決のひとつが「自分ゴト化」だと思っています。一人一人に身近に感じてもらうために、身近なものに目を向けてもらうのです。自分がどんな社会課題に関わっているかを、実感してもらうことが第一歩だと思います。社内でもいかに自分ゴト化できるかを話しています。サステナビリティは仰々しいとか偽善とか思われがちですが、きちんと理解して、意識を高めていくことで事業との一体化を実現していけると思っています。
今の価値観やコストだけで物事をはかるのではなく、未来においてどういう市場ができ、生活はどう変わっていくのか。明治ホールディングス株式会社では、未来を見据えながらSDGsへの取り組みがなされていました。
writer
Equally beautiful編集部
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