FEATURE

高校生たちのSDGs。 世代を超えて広がり続けるSDGsの波。 10代の熱い想いが伊藤忠商事のプラスチック問題への取り組みに迫ります!<後編>

高校生たちのSDGs。 世代を超えて広がり続けるSDGsの波。 10代の熱い想いが伊藤忠商事のプラスチック問題への取り組みに迫ります!<後編>

高校生たちのSDGs。 世代を超えて広がり続けるSDGsの波。 10代の熱い想いが伊藤忠商事のプラスチック問題への取り組みに迫ります!<後編>

 (740)

聖心女子学院の生徒たちが作っている新聞「Plastic Free Journal」

プラスチックを取り巻く地球環境の問題。大切なことは環境問題に取り組む際にストレスを感じさせない、感じないことではないでしょうか? 伊藤忠商事の小林拓矢さんがプラスチックの未来に向けて、前回に続き優しく解説しています。
 (741)
以前から環境問題やナチュラル志向などを語ることは「一部の感度の高い人の意識でしかない」と思われていました。聖心女子学院「プラスチック フリー キャンパス(以下PFC)」の活動をしている生徒たちのは日々の生活の中で「なるべくプラスチックを使わない」という意識を持ちながら、環境問題にアプローチしているようです。少し前に比べて、企業のSDGsの取り組みなども含め、環境問題は世代を超えて、幅広く意識されていることを感じます。それでも、今は大学に通う聖心女子学院「PFC」創設メンバーの声が印象的でした。
「環境問題を含めて、プラスチックフリーの活動をしていると周りとのギャップがあると感じていました。世間との温度差といっても良いかもしれません。色々な考え方はあっても良いのですが、今もまだまだ壁を感じ、逆境にいる気がしています。どのように逆境に対処すればいいのか、教えてください」
広く認知されてきたように感じても、地球環境に配慮することはまだまだ一部の人間の意識でしかないのかもしれない。そんなジレンマに小林さんは、
「先日、ファミリーマートのオリジナル商品『Convenience Wear』のデザイナーの落合宏理さんと話す機会があったのですが、彼の言葉が印象的でした。コンビニで衣類を買うことは必要に駆られてであり、長く使うことはない。そういった意識を、デザインで変えていこうというのです。使い捨てられるものから、デザインに愛着を持って購入してもらうことへ、それ自体が大きな変革です。もしその素材にエコな要素が含まれていたらどうでしょうか。リサイクルポリエステルで作られていたり、パッケージそのものが長く使えるようになっていたり。商品を買うだけで、ストレスなく環境に良いことをしていますよね。ストレスなく実行できることこそが、温度差を埋める一つの鍵ではないでしょうか」
 (742)

知らぬ間に環境に配慮している素材を使うファミリーマートの「Convenience Wear」。EQUALLY BEAUTIFULでも取り上げました。
https://equallybeautiful.com/series/20

自然な形でストレスなく環境に配慮出来る。このことに生徒たちも納得した様子です。
 (743)

身振り手振りを加えて、丁寧に説明する伊藤忠商事の小林拓矢さん。

誰もが営む生活を守りながら、環境に配慮することが大事になってくる。
続いて出てきた質問は、「プラスチックを減らすことをしていきたいけれど、一方でプラスチック製品を作ることで生活している方が職を失うということもあるわけですよね? そう考えるとそこにも難しさはあると思っています」というものでした。
「プラスチックの必要性は生活の中でも大きなものです。同じプラスチック製品を作るにしても、環境負荷の少ないものに変えていくという選択肢もあると思っています。石油由来から、植物由来に替えるだけでも違ってきます。プラスチック産業に従事されている方も同じものを作って働けるわけです。また、プラスチックの代用品として、紙が使われることがありますが、こちらも包括的に見ていく必要があります。紙は木を伐採して作られます。木が育つときにCO2を削減してくれるのですが、プラスチックも植物由来に替えることで、CO2削減につながります。紙を作る工程でもCO2は排出されますし、同時にたくさんの水を使います。プラスチックに比べて紙は重いので、運搬時にかかる排気ガスが増えるという人もいます。もちろん、きちんと管理した工程の中で、伐採した分植林しているとか、水は完全に綺麗にしてから戻すようなことをしている人たちも沢山います。単純に紙がよい、プラスチックが悪い、ということではなく、これらを含む全てのことを個別に勘案して判断していく必要があります。選択肢がたくさんある中でどれを選ぶか、バランスを考えながらどう使っていくかということが大事なのだと思います。また今ある個々の選択肢をより良いものにしていく努力が必要です」
 (744)
と小林さんはさまざまな視点から包括的に説明していきます。
「消費者の立場から考えると、まずは自分のできる範囲から取り組むことが大切です。それができたら自分だけではなく、他人のことも考えてみませんか? 先ほど周りの人との温度差ということがでましたが、逆に相手のことを理解して、共通の目標を作ることも大切ではないかと思っています」
 (745)
このようなやりとりを経て、当初1時間の予定を大幅にオーバーしての座談会終了となりました。生徒たちも新しい視点を得られたようです。
後日、聖心女子学院「PFC」顧問の平山美樹先生からのメールがありました。
「早速、今朝登校してきた生徒たちが口々に、『新たな視点を得られた』と言っていました。『利益がないと持続しない』というお話は改めて気づかされた点だったと思います。プラスチック問題はあくまできっかけで、世の中で起きている様々なことを総合的に見るという観点を身につけていけるよう、私ども教員もより一層はたらきかけていきたいと思いました」
 (746)
プラスチックを取り巻く環境問題は正解があるものではないかもしれません。ですが、ゴミをなくす、CO2排出を減らす、限りある資源を有効に使う、といったことを共通の目標に未来を考えていきたいという思いは同じです。バランスを考えながら多くの人々の暮らしを支えていくということを考えるとても良い時間だったのではないでしょうか。幅広くプラスチックの現状を知ってもらう機会になったようです。
writer
Equally beautiful編集部
  • facebook
  • twitter
  • line