SNSで話題沸騰中の「グミッツェル」。そのあまりの人気ぶりに、公式オンラインショップでは品薄状態が続き、東京にあるヒトツブカンロ直営店「ヒトツブカンロ グランスタ東京店」、「ヒトツブカンロ 新宿ミロード店」では、開店時間前からお客さんが列を作り、入店するための整理券が配られているほどです。
「グミッツェル」は、全6種類のテイストを展開。オレンジ/グレープフルーツ/ラフランス/ソーダ/グレープ/ピーチ。
プレッツェルのような形のグミだから、“グミッツェル”。ポップな色づかいとデザインがInstagramで話題になり、人気に火が付きました。そして、SNSのメインストリームが静止画から動画へ移り変わっていくとともに、グミとは思えない「サクッ、パリッ」とした食感が大きな注目を集めることになりました。
カンロ株式会社ヒトツブ事業部長の金澤理恵さんは、こう振り返ります。
「ASMR(※)ってご存知ですか? 私たちもまったく想定外だったんですが、高感度マイクで、この『グミッツェル』を噛んだ時の咀嚼音が、耳心地が良いと拡散され、それがきっかけで若い方々にも広く知っていただくようになりました」
※ASMRとは、autonomous sensory meridian responseの略。聴覚などへの刺激によって、ゾクゾクっとするような感覚反応のこと。
薄氷を口中で一気に割るような、乾いたパリパリッという食感は、自分で噛んで心地良いばかりか、他人にも聴かせたくなるほど。薄く硬いグミの表面が独特の咀嚼体験を生み出すのです。
その「ヒトツブカンロ」が手掛けた、かばんの中のサステナブル
こうしたユニークな商品を展開している「ヒトツブカンロ」シリーズが、昨年よりブランド設立10周年を記念して、サステナブルな取り組みをはじめました。名付けて「ヒトツブカンロearth」。第一弾として発表されたのは、缶に入った飴とそのリフィル、ウエットティッシュ、ハンドタオルです。
左/飴を詰め替えるという新たな楽しみを提案するリフィルタイプ。内容量47g。右/国産みかんをジュースにした時に、残る皮や繊維をアップサイクルしたグミ。こちらは、2022年12月発売の新製品。
ヒトツブカンロearthの象徴的なデザインを蓋に記した『キャンディアースの小さなのど飴』。
これまでにも「ヒトツブカンロ」では、多彩な缶ケースに入った飴を世に送り出してきました。蓋には可愛らしい図柄が描かれているのが特徴です。そうした缶ケースは、中身の飴を食べ切った後も捨てられず、小物入れとしてリユースされることが多く、図柄違いで缶ケースを集めているという声も。
「そこで、リユースできることをもっと積極的に発信できないかと考え、象徴的なデザインの缶ケースにしました。また、飴を入れる缶として使い続けてもらうためにリフィルタイプも用意しました。缶ケースへ中身を詰め替えてもらうことで、エコマインドを行動によって再認識していただくことが目的です」(金澤さん)
キャンディを取る手、渡す手の汚れを落としてもらいたい、という発想から生まれた『地球をあるくウエットティッシュ』。
次に、ウエットティッシュですが、こちらはアップサイクルがテーマといいます。アップサイクルの対象は、製造工程のなかで、規格外で弾かれてしまうカンロ飴。再利用できるものについては、原料に戻して活用されますが、金属粉などが混ざる可能性があるものは食用として再利用できず、これまでは飼料・肥料として活用するしかなかったそうです。
「年間1,221トンの規格外の飴のうち、飼料・肥料として再利用されるのが83.7%。残りの16.3%をアップサイクルして、新しいものに生まれ変わらせることができないか、と考えました。そんな時に、サーキュラーエコノミーの勉強会で知り会ったのが、
ファーメンステーション さんです。彼らは未利用資源の有効活用をする会社で、独自の発酵技術と休耕田で栽培した有機米を利用して、アルコールを精製する技術を持っていました。ファーメンステーションさんの発酵技術で、規格外のカンロ飴からアルコールを精製し、完成したアルコールを染み込ませたのが、新製品のウエットティッシュです」(金澤さん)
そもそも『ヒトツブカンロ』は、誰かを想い、誰かにあげたくなるシーンづくりのために製品を展開してきたもの。キャンディは、人の手から人の手へと渡されます。その渡す手をキレイにしたい。その想いを起点に、ウエットティッシュが生まれたといいます。
肌にも、地球にも気持ちいい、『地球想いのハンドタオル』。
ハンドタオルはライフスタイル提案商社「豊島」と「Bioworks」と「カンロ」の三社で協業。Bioworksは、サトウキビなど植物由来の原料からPlaxコンパウンド(※)を作り出し、そこから繊維を作る技術を持っていました。植物由来で、生分解性質を持ち、時間はかかっても最終的には土に戻ることができる素材。このリサイクルファイバーを使って、豊島がハンドタオルを製作したという経緯です。
※でんぷん(糖)を抽出、微生物による発酵によって得られた乳酸を結合した高分子。
ただし、この製品はプロジェクトの第1段階。現在は飴づくりとの直接的な接点はありませんが、それでも製品化を敢行したのは、将来を見据えた試作の意味があるからです。
「私たちの飴は、北海道産の甜菜という大きな蕪(かぶ) のような植物からつくられる砂糖を使用しています。その甜菜も、サトウキビと同様に、糖分抽出後には繊維だけが残ります。この甜菜の繊維を、やがて活用につなげたい。その目標を見据えた協業となっています」(金澤さん)
これらのアイテムは、2022年9月に発売を開始しており、発売当初から直営店には数多くのポジティブな声が寄せられているそうです。エコにまつわるものは、地球環境によくても、使う側にとっては、多少の我慢を強いることもあります。でも、こういう可愛いアイテムだったら、身近に置いて、日常のなかでエコを感じられる。そんな声が数多く届いたそうです。
飴という身近なアイテムだからこそ、生活のなかに深く入り込み、何らかの気づきを与えるきっかけとなるのでしょう。しかも、「ヒトツブカンロ」のコンセプトが、人と人とをつなぐ媒介として生き生きと機能しているところが素晴らしいです。
「直営店を通じて、お客様の声をキャッチアップできることが大きいと思っています。店舗からは、こんなことがありました、という日報を上げてもらっています。お客様の要望を丁寧につなぎ合わせていくことができるのが、私たちの強みだと思っています」(金澤さん)
「ヒトツブカンロ」は、飴菓子を単なるお菓子と捉えるのではなく、「飴をあげる」というシンプルな行為に「人の想い」という価値観を見出したところに新しさがあります。そして、その視点はサステナブルな観点にまで広がり、「ヒトツブカンロearth」として次の一歩を踏み出しています。
これから「ヒトツブカンロ」がどのように「人と飴」、そして「人と人」の関係を紡いでいくのか。楽しみです。
向かって左側が「グミッツェルBOX 12個セット」。右側が「MOFUWABOX 6個セット」。
各商品の詳細については、
ヒトツブカンロ公式ページへ。