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廃棄ゼロを目指して!Tabioが実践する靴下の廃材の再利用とリサイクル

廃棄ゼロを目指して!Tabioが実践する靴下の廃材の再利用とリサイクル

廃棄ゼロを目指して!Tabioが実践する靴下の廃材の再利用とリサイクル

「靴下屋」や「Tabio」を運営する靴下専業企業のタビオは、靴下の製造過程で出る廃材を、リハビリの題材としての提供やエシカルを学ぶワークショップの開催に役立てている。また、不用になった各種靴下を回収してリサイクルする活動も行っている。

人と人をつなぐ連携で日本の未来をつくる、サステナブルな取り組み
端材を福祉関係の施設などにリハビリの題材として無料提供
1984年に靴下専門店「靴下屋」をオープンさせて以降、カラータイツブームや5本指ソックスのカジュアル化など多くのヒット商品を生み出してきたタビオ。理想の靴下である「第二の皮膚」のような品質を作れる技術力は日本にしかないと、徹底して「Made in Japan」にこだわり、日本の靴下業界の繁栄と永続に努めている。
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ロンドンのニールストリートにあるTabioのショップ。その他、パリに3店舗を展開。アメリカではweb販売のみおこなっている。

タビオは、昨今のSDGsが話題になる約30年も前から在庫管理や販売管理システムを構築。今では、消費情報をリアルタイムに把握し1日単位で調整。製造・販売を一体化した国内生産の強みを活かして、必要な分だけ商品を製造、すぐ納品することで、過剰在庫を無くして廃棄ゼロを目指す。
しかし一方で、年間約2500万足以上の商品を生産していると製造過程で1足につき2個の「端切れ輪っか」が約5000万個生まれてしまう。それを産業廃棄物として捨てるのでなく、生まれ変わらせて活用する取り組みを行っている。
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他の製造過程で排出される端材も廃材にせず、「端切れ輪っか」とともに色や柄を生かした可愛いソックスアニマルの製作などで有効活用。障碍者施設へ無料提供してリハビリなどに活用したり、リサイクルやエシカル消費を学ぶワークショップを開催したり、多くの人に喜ばれているのだ。
今では500カ所以上に提供するようになり、リデュース(ゴミ削減)、リユース(再利用)の取り組みであるとともに、焼却時のCO2排出削減による環境改善と、手先の機能訓練・リハビリなど健康維持・増進の支援として2016年にはACAP消費者志向活動表彰を受賞。
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そして、リサイクルも忘れない。タビオでは日本環境設計株式会社の「BRING」活動と連携し、2017年より全国の「靴下屋」、「Tabio」、「Tabio MEN」の限定店舗で回収を行い、 集まった靴下はなんと約35万足。集められた不用な靴下やタイツは、新たな繊維製品の原料や燃料などになることで、再び世の中の役に立てている。
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他にも、ファッション業界から食品廃棄物を再活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」をサポートし、廃棄食材を染料とした糸を使った靴下を登場させ、フードロス問題に解決方法を提案。また、残った糸から作られた数量限定のレーシングランZANSHIシリーズ第二弾でNEWカラーをリリースするなど、サステナブルな取り組みに実に前向きなのだ。
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奈良県広陵町にあるタビオの綿花畑。総責任者である越智会長も作業着姿で収穫に参加

さらに、靴下の原材料である世界最高水準の綿「タビオコットン」の生産もスタート。地域社会のために、休耕田やシルバー人材などを活用して自己栽培することで、土地の有効活用や地域の雇用を創出。完全無農薬、オーガニック農法栽培のために苦労も多いが、高い収穫量や品質の安定に向けて、近畿大学との産学連携プロジェクトが始まったという。
綿花畑で地域の繁栄および活性化に貢献。100パーセント国産で品質保持。協力工場、本部、店頭の連携による在庫管理。ユーザーには愛用したくなる履き心地。そして最後に廃棄しないシステム。どの段階も人と人をつなぎ、未来を明るく照らしてくれる素晴らしいことばかり。「持続可能な開発目標」の実現へ、靴下づくりが起こす積極的な取り組みに注目したい。
writer
Equally beautiful編集部
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