さらに複雑化するエネルギー事情。リスク分散がカギ
同社は、日本の電力需要が2040年までに20%増加すると予測している。ここ数十年で15%減少してきた傾向が逆転する見込みだ。最大の要因はAIとハイパースケールデータセンターで、データセンターの電力需要は現在の総消費量の2%から2034年までに最大7%に増加するという。
この需要に対応するためには、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入が必要になる。ウッドマッケンジーは、系統用蓄電池への支援や投資の強化がなければ、太陽光発電量の成長は政府目標の下限値にとどまる可能性があると指摘している。
また日本は2020年代末にかけて複数の長期LNG契約(※)の更新時期を迎える。従来はマレーシア、インドネシア、ロシア、カタールから調達してきたが、近年は米国からの供給傾向が強まっている。米国メキシコ湾岸からの輸送コストは日本にとって最も高額となるものの、供給源の多様化や柔軟性の向上、異なる価格に対応できるためリスク分散ができるというメリットもある。
※LNGを長期間安定して調達するために生産国と輸入国の間で行われる(15〜20年の長期・固定契約
※LNGを長期間安定して調達するために生産国と輸入国の間で行われる(15〜20年の長期・固定契約
日本はエネルギー資源に乏しく、国際投資に依存している。そのように生産された石油は、エクイティ・オイルと呼ばれる。その大部分は、インドネシア、UAE、オーストラリアに集中しているが、エクイティ・オイルの生産量は1日約210万バレルで、国内消費量の約430万バレルを大きく下回るため、需要の半分以下の生産量しか賄えていないのが現状だ。
と同時に天然ガスの確保も重要だが、こちらも2050年になっても液体燃料の需要は170万バレル/日残るのに対し、自前の生産は100万バレル/日程度と、需要と供給のギャップは大きい。
日本にとって、ますます普及する電気自動車用バッテリーや重要鉱物は戦略的にも重要だ。中国が世界のサプライチェーンを支配するなか、日本は新たなパートナーシップの構築を進めている。
ウッドマッケンジーは、日本が低炭素化政策において正しい方向に進んでいるとしつつも、需給ギャップの解消とエネルギー安全保障強化のため、これらの分野にわたる継続的な支援が不可欠だと結論づけている。
2026年1月27日、アメリカのトランプ政権は、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」から離脱。ますます世界のエネルギー事情は混沌とした局面を迎えているなか、日本には脱炭素化とエネルギー安全保障の両立という困難な課題への対応が求められている。アジア太平洋地域における気候変動対策のリーダーとして、日本がどのように取り組むかが重要だ。