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連載

2021.05.27

知らぬ間に「エコ」や「サスティナブル」を実践、 画期的な新ブランド「Convenience Wear」の デザイナー・落合宏理さんインタビュー。4回目

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ファミリーマートの新ブランド「Convenience Wear」のパッケージは「包装(=パッケージ)」を「使い捨て」前提ではなく、後々まで使うことを意識してもらう試みがあります。今回は「Convenience Wear」のパッケージへのアプローチが環境に配慮していることを伺っていきたいと思っています。

EQUALLY BEAUTIFUL(以下「EB」と略) 前回のお話では日常の中のデザインが重要であることを痛感しました。必要なものをどうやってうまく使っていくのかを、ヒステリックではない判断基準の中で考えていくこと。しかし、それをストレートに詳しく話したところでなかなか伝わらないというジレンマがあります。そこにデザインが必要であるという概念にまで踏み込んでいるのが落合さんなのだと思いました。ファッションデザイナーも、今までのように洋服に集中するのでなくて、かなり色々なことができるのだと目から鱗でした。環境ビジネスを社会実装する上でもデザインは重要なものになっていて、こうしたことを一番うまくできるのはデザイナーの力だと思いました。
落合宏理さん(以下「落合」と略) 今回の「Convenience Wear」において、パッケージへのアプローチは商品を一般化するためにも、環境問題を一般化するためにも不可欠なものだと思っています。
EB  「過剰包装」という言葉でビニール袋が悪者にされることも多いですが、視点を変えると公共衛生を担っているとも言えます。
落合 「Convenience Wear」のパッケージは、子どもが公園で汚した下着を入れてもいいし、濡れたものを入れてもいい。外出のときに着替える服を入れてもらってもいい、そんな想いで作られています。私の周りは領収書を入れる方もいますね。参考までに持ってきたのは私が使っているものですが、コード類入れにしています。パッケージの使い方はまだまだアプローチがあると思っています。仰ってくださったように、衛生面を含めてこのコロナ禍で包装はさらに重要な要素になっています。
EB  機能面だけではなく、デザイン面も秀逸だと思います。カラーやサイズがパッケージを見るだけで分かりますし、使われている素材まで書かれている。コアな人は全部読んで情報を仕入れることができるデザインになっていますよね。例えば、ここにCO2の排出量が書いてあると、また違う見え方になります。こうした情報も押し付けではなく、自然に入ってくる仕組みになっているのだと思います。
落合 環境問題を意識するための入り口にしていけると、付加価値になりますよね。きっかけとして存在すれば良いかなって思います。今回の取組は短期的なポップアップやコラボレーションではないので、今後も入り口となるアプローチを広げていければと考えています。
落合 全身に良いものを着ていなくてもいいっていう意識が私たちファッションのプロにはあります。高級スーツにあえてTシャツを合わせてみたり、スニーカーを履いてみたり。そこに私たちはファッションの魅力と憧れを感じるわけです。その憧れのひとつのカードとして、「Convenience Wear」のラインソックスがあったら良いなと思います。いわゆる「ハズし」の王道として。
EB その「ハズし」もまた落合さんらしいアプローチです。

美術館に置かれてもおかしくない、 世界共通カラーが生んだソックスがスタート!

落合 ラインソックスは最初に考えたアイデアなのですが、コンビニのカラーは世界共通のカラー、公共デザインだと思っています。それこそミュージアムショップや美術館に入っていても問題ない、世界に認知されているシンボルだとも思っています。誰もが一目でコンビニだと分かるようにデザインに落とし込むのがスタートでした。
EB  あのソックスはまさに落合さんらしいデザインでした!
落合 あのソックスを起点にして、ファミリーマートさんと、「Tシャツだったらステッチ幅はもうちょっと大きい方が良い」「男女兼用で作るのであれば、女性でも少しゆったり着られるデザインにしよう」といった話をしました。Mサイズだったら男性、Sサイズだったら女性という考えはありませんでした。全員がそのサイズを着て、シミュレーションをして、バランスを考えながら、理想とするイメージに近づけていきました。
EB  老若男女が利用するコンビニに置かれる難しさと面白さが混在している気がしますね。
落合 今まで、コンビニで買った服は「使い捨て」という感覚があったかと思います。予定していない外泊にしても、雨に降られたにしても、コンビニでソックスや下着を買うときはある意味緊急時じゃないですか。そこで購入するときの意識を「日用品」に転換する必要がありました。どうしても必要に駆られる時はある。そうした時にネオンカラーの靴下をはじめとするラインナップがコンビニにあることが大切なのです。ひたすら「どう着てもらうか」を考えてデザインしました。今回ライムイエローとピンクのソックスも出したのですが、想像以上に好調だったと聞いています。訪れるみなさんに良い捉え方をしてもらえたと思います。
EB  環境問題の中でも「捨てない」という意識は重要だと思います。さらに消費者が「欲しいと思う」ものを作られているということもとてもよくわかりました。少し先の未来予想図はありますか?
落合 今の状況が落ち着いて、以前のように海外の方が日本に来るようになれば、これはお土産になるとも思っています。特に、今回コレクションにラインナップされている今治タオルは日本を代表するタオルなので、なるべくバリエーションを増やして、「ファミリーマートに行けば手軽にお土産に出会える」というイメージを醸成できると面白いでしょうね。
EB そこまで視野に入れているから、パッケージに色々な国の言葉が並んでいるのですか?
落合 英語、カタカナ、ひらがな、漢字などなるべく多くの言葉を入れたのは、ファミリーマート20万人の従業員の中で働く海外の方々を想定してのことです。浜松はブラジル、大阪は中国、名古屋はベトナムの方が多いという話を聞きました。その地区によって働かれている方の国籍は違うので、みなさんに理解して喜んでもらえるような、自慢できるようなものにしたいという思いでした。ちなみに、パッケージの裏面はなるべく情報量を少なく、物が見えるようにしてあります。
EB  実際にファミリーマートに行って、読者の方にも見ていただきたいと思いますね。
落合 ファミリーマートに足を運んでもらえるツールになってくれれば嬉しいですね。
EB  まだまだ話は尽きないですが、4回に渡り「Convenience Wear」のデザインからエコやサスティナブルの実践までお話しいただき、とても興味深く、楽しい時間でした。ありがとうございました。
落合 ありがとうございました。
落合 宏理(おちあい ひろみち) 1977年 東京生まれ 。日本のファッションデザイナー。文化服装学院卒業。卒業後はテキスタイル会社に勤務。2007年「FACETASM」を立ち上げる。2011年には‘12SSコレクションをランウェイでコレクション発表。2015年にはアルマーニに招聘されアルマーニ/テアトロにてミラノメンズコレクション発表。2016年には第三回LVMH Young Fashion Designer Prizeで日本人初のファイナリストに選ばれる。世界から注目を集める日本人デザイナーのひとり。
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